王様を欲しがったカエル
作家・シナリオライター・編集者を兼任する鳥山仁の備忘録です。
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このように、技術が高度化すると「現実が虚構を超える」という、面白い現象が起きます。具体的には、実写アダルト作品の表現(というか実行為)が、アニメや漫画のポルノ作品を凌駕しちゃったんです。原因は大まかに分けて2つあります。1つは作者の勉強不足。残念ながらエロ漫画やエロゲーの作者の中で、最初からポルノ関係の仕事に就きたいと思って業界に来た人は少数で、大半は漫画家やコンシューマゲームの製作を志望しなが...
……などともの凄く遠回りをして書いてきたが、紙屋の問題点はこれまで私が批判してきた規制派とまったく同じである。一言で述べてしまうと、性愛に関する知識の欠如、ポルノに対する知識の欠如と、性愛へのネガティブで歪んだ価値観が融合して、ポルノ作品を批判的(悪い意味でね)に扱っているのだ。 このことは、前述の杉田の著書に対する評論と、蟹工船の漫画化に対する評論を読み比べると分かる。 『蟹工船』の書評に於いて...
4. たとえば、純愛と肉欲という2項分類なんかはこの典型。現実の恋愛やセックスには、この2項では分類できない「肉体的資質」とか「技術」の問題が大きなウェイトを占めているのに、この部分を論点にしなくても言説が成立しちゃうわけです。 で、フィジカル、テクニカルな問題に触れない言説の、一体どこがリアルなんですかね? ネガ・ポジとか、テーゼ・アンチテーゼの2項分類なんて、典型的な精神病患者の思考法じゃない...
3. 上述のように「男権主義的イデオロギー」という抽象概念には、幾つかの面で特定の性癖を論理的に正当化するという効力があります。まず、レイプの正当化です。現在の我々の社会が女性を性的に搾取する行動規範を内包しているのだとすれば、レイプが発生するのは必然ということになります。 社会改革を訴えるグループは、これらの理論をもって「社会を変えるべし」となるわけですが、レイプを正当化したがる人間は「社会規範...
2. 話を戻しましょう。このように、リアルとはたいてい惨いモノですし、嫌な現実に直面しそうな場合は、自分の脳内からスポイルするか、ギャグにして笑って誤魔化すか、本当に直面したくない現実よりも相対的にマシであるにもかかわらず「悲惨」な状況をフィクションとして作り出し、それをリアルであると主張するかの、いずれかの方法を採りがちです。そして、「男権主義的な社会が女性を性的に搾取している」という話も、リア...