王様を欲しがったカエル
作家・シナリオライター・編集者を兼任する鳥山仁の備忘録です。
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皆さん、お返事が遅れて申し訳ありません。 W杯観戦モードで、全てがグッチャグチャになっております。 我が日本は無事にグループ予選を突破。初の自国開催以外での決勝トーナメント進出です。しかも、試合は本日行われます。 いやあ、嬉しい。嬉しすぎる。どれぐらい嬉しいかというと、『シグルイ』の藤木源之助VS伊良子清玄で、伊良子が勝った時の賎機検校並の喜びようですよ。何が嬉しいって、馳星周とか金子達仁とか杉...
「ありがとうございます。それで、どうして香蘭は彼の命令で動くんですか?」 上司から冷たい水を受け取ったさくらは、軽く会釈をしてからペットボトルのキャップを開封した。彼女はボトルの底を斜めに持ち上げて、冷たい水を無造作に喉奥へと流し込んでいく。「香蘭自身も自分の判断で動くことはある。でも、彼女は基本的に十三君の命令しか受け付けない。彼はこの世界に香蘭を呼び寄せた人間の親族なんだ」「その呼び出した人は...
本当はワールドカップについてだらだら書きたいんですが、7月11日に参議院議員通常選挙が行われることが決まったので、表現規制問題の観点から応援すべき候補と落選させるべき候補を絞ってお伝えしたいと思います。今回は比例代表制(定数48人)での戦いが重要ですので、できる限りこの問題を関心のある有権者の皆様にお知らせ頂けると幸いです。 私の参院選に対するスタンスは、http://toriyamazine.blog.2nt.com/blog-entr...
第2話 マンションの7階から一望できる赤霧丘陵は、秋の夜の闇に覆われていた。マンションの真下に広がっている院須万守町の住宅街にも、それほど明かりが灯っているというわけではない。 田舎の夜は早い。深夜近くに路上を徘徊しているだけで、不審者扱いは免れない。 四須さくらは大きく深呼吸をしてから視線をベランダと部屋を遮るガラス扉から安っぽい合板でできたテーブルに戻し、その上に乗っている2枚の写真に意識を集...
KENJIさんのブログに何故か書き込めないので、自分のブログでポルノとメディアの影響論に対する返信を書きます。 まず、現段階でメディアと暴力行為、あるいは性行為を関連づけた理論としては、1)カタルシス理論(ガス抜き理論)2)観察学習理論3)脱感作理論4)カルティベーション理論 の4つが代表的なものとしてあげられます。このうち、規制反対派がよく援用するのがカタルシス理論で、ポルノを見ることによって...
鷹揚な性格の香蘭だが、この「入浴義務」だけは例外だ。彼女はどのような事情があろうとも湯浴みを必ず要求してくるし、また約束を破ることを許さない。 まだ父親が健在だった頃に、ちょっとしたことが原因で転倒して膝を強打してしまい、歩くことさえままならない状況だったにもかかわらず、香蘭が有無を言わせず「風呂に入る」と言い放った時の形相を、十三は未だに忘れる事ができない。彼女の顔の筋肉が生み出した造形は、市...
サッカーと育成
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いよいよワールドカップ南アフリカ大会が開幕。今週から7月の中旬までは、基本的にワールドカップ以外の全てのプライオリティが低下する。理由は説明不要だろうし、また説明するつもりもない。 FIFAランキングが順当であれば、我が日本代表に1次リーグ突破のチャンスはないが、Jリーグができる前から応援してきた身とすれば、全く気にならない。私が代表を応援しだしたのは、多分1984年ぐらいからだが、それからW杯...
今、この瞬間も少女の姿をした神は、邪悪な笑みを浮かべながら舌なめずりを始めている。怖気だった十三は反射的に香蘭の指を振り払い、大仰に肩をすくめて会話を断ち切ろうと試みる。「も、もういい。この話は、お仕舞いにしよう」「まあ、急くな。妾も少しずつ思い出しているところだ」「な、何を?」「だから、妾が狂わせたお前の友達についてじゃ」「……矢作さんのことを、思い出したのか?」「いいや。ただ、それより少し後の...
週間連載・ネクロノミコン異聞(1)
第1話 2つの車線を持つアスファルトの道の両側には、緑に包まれた低い山々が連なっていた。山の斜面と道路の間に位置するわずかな平地には、安っぽい瓦を敷いた日本家屋が立ち並んでいる。 団十三は車体の前面に買い物かごが付いた小さなスクーターのアクセルをふかして狭い国道を駆け上り、やがて左側に現れた車一台分の幅しかない細い私道に突入した。初秋の太陽は既に西側へと傾いて、あたりを橙色に照らし始めている。 街...