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完成・作曲・脱構築、そして作品として軸がぶれている。

 ついにゲームの完成品が届く。後は書店に配布されるのみ。いよいよ、2重の意味でゲームが始まった。

 一方、新作のストーリー構成だが、順調にやばい方向へとシフトしつつある。原因は初期の設計だろう。複数のキャラクターを使って、複数の軸が構築できるように組み上げた結果、キャラクターを幾ら登場させても、お話として大丈夫になってしまっているのだ。これだと、理論的には無限に足し算が可能だから、作品がシェイプアップできない。非常にマズイ。

 現状で主軸となる登場人物は3人。これに、サブキャラクターが6人加わって、全員がそれぞれ個別のストーリーと共通するストーリーを並列で持っている段階で、これはもうトマス・ピンチョンの世界である。ポルノでピンチョンやってどうするんだ。確かに、ピンチョンの『重力の虹』は、作品を構成するパーツの一部にポルノを利用しているが、私が同じ事をやっても意味がないんだよ。「ぐへへ。お前の××もピンチョンピンチョンだな」とでも言わせるのか?

 これがショートエピソードの集合体であれば、もっとフラットなお話作りをすることも可能なんだが、あいにくと私はサスペンスが好きなのだ。全員がサスペンス軸に沿って、相互に関係しながら展開するストーリーとか言うと、なんか非常に高度なことをやっている気がして、それを書こうとしている自分も偉くなったような錯覚を覚えるが、実際問題として一体どこの誰がそんな作品を読みたいのか?

 問題は他にもある。上記の構成だと、もはや三人称による情景描写や内心描写は避けられない。確実に地の文がゲーム的な演出とバッティングする。話だけでも手一杯なのに、演出まで新規の方法を考えねばならないのか? そもそも、地の文が書いてあっただけでバッシングの対象となるのは確実だ。誰がどう考えてもリスクが高すぎる。何とかして、オーソドックスな構成に納めないと私が死ぬ。

 死ぬと言えば、今回の作品の資料集めを始めたのだが、必要となる一次資料(の一部)がイタリア語で書かれていることが判明。日本語だって怪しいのに、イタリア語の学術論文なんて読めるか! 無理!

 そうそう。読めるかと言えば、スケジュールの問題から実写系の作品で作曲を私が担当することになり、十年ぶりぐらいにスコアを見て失神。まったく読めなくなってました。現在、作曲ソフトと仮想ピアノを使って、しょっぼーい音楽を作っている最中なのだが、知人から「その程度の曲、30分もあればできるわい」と言われて号泣。事実だから反論の仕様がない。音楽の才能、ぜんぜん無いんだよね。

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toriyamazine

Author:toriyamazine
東京都出身。
高校在学中にライターとしてデビュー。
以降は編集者・ライター・ゲームディレクター・実写アダルトDVDの監督、そして作家を兼任。
仕事はSMポルノ関係全般で、小説、ゲーム、実写etc、アニメーションを除くすべてのポルノ作品を平行して制作。年間発表数は約6作品前後がコンスタント。
一般作に関しては、別名義、もしくはアンカーマンとしてのみ参加中。

追記・最近になってメールで連絡が取れないという非難が多く聞かれるようになったので、仕事用のアドレスを公開しておきます。
jjnewzine★gmail.com
です。★マークを@に変えて使ってね。

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