王様を欲しがったカエル
作家・シナリオライター・編集者を兼任する鳥山仁の備忘録です。
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ネクロノミコン異聞2 (あくしずレーベル) (2012/10/09) 鳥山仁 商品詳細を見る |
『ネクロノミコン異聞』の第2巻が無事に発売されました。前作の売り上げが好調だったとのことで、続編の執筆委依頼が来る可能性が高い事は分かってたんですが、実際に発売されると嬉しさもひとしおです。
後書きにも書きましたが、今作では前作よりもクトゥルフ神話の要素のウェイトを高くしてあります。その理由ですが、読者さんのかなりの割合がクトゥルフ神話好きだということが判明したからです。私自身は、本作を架空戦記のレーベルで出版する以上、ミリタリの情報をクトゥルフ神話の情報よりも優先すべきという方針でいたわけですが、ネットなんかで書評を見ていると、ミリタリに全く興味のない人まで購入者になっており、しかもその評価が「中途半端」とか「クトゥルフ神話である必要性がない」というものが多かったんですね。
さすがの私もこれには頭を抱えました。まさかクトゥルフ神話のファンが、そこまで悪食、じゃなかった好奇心旺盛だとは予想もしてなかったんですね。常識的に、独ソ戦に興味のない人が、スターリングラードの戦いを描いた作品に手を出す事は、まずないですから。
ただ、現実は現実として受け入れるしかないのと、最初から小説の規定枚数が原因で開示できなかった設定をオープンにするだけだったので、それほど大きな方針転換にならずに作業ができたのは不幸中の幸いでした。
また、編集サイドでも同じ問題意識を共有して頂けて、こちらが何も言わずとも帯のコピーライトなどに変化があったのは凄く嬉しかったですね。共同制作の場合、こういう経験ができるのは快感です。
しかし、執筆の方は試行錯誤の連続で、とにかく情報が入りきらないのに難儀しました。これだけ調整が難しかったのは何年振りだろうというレベルの作業でしたね。ただね、あくまでも、あくまでも個人的な感想なんですが、本作はエピローグを世に出せただけでも大満足だったりします。
自分が執筆した作品の中でも、この章の出来映えはかなり気に入っており、読者の皆さまにも喜んで頂けたら……と思う次第です。
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