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アンチジェンダーフリーと男児教育

 先日も低空飛行。もはや、ドイツ軍戦車部隊を襲撃するイリューシンIl-2シュトルモビク並みの低さである。この日は実写系新作の打ち合わせ。ライター氏とグラビアの撮影に関するイメージの交換を行う。かなり込み入った撮影になりそうなので気合いが入ってくる。今作がアップ次第、すぐに撮影に必要な小物の一覧表とポーズ指定用のラフ案を作成しよう。

 その後、いろいろあってユング心理学の話に移行。私のアニマがどうなってるのかということをシミュレーションしたのだが、どうやら『絶望先生』の木津千里のようなものではないかという結論に。面白いし的を射た解釈なんだけど、話はそれほどかみ合わない。

 原因は男女観のあり方にある。ユング派は典型だが、内心に男性性なり女性性なりがあって、これが行動として表出するという考え方そのものが私には薄いので、内心の男性性とか女性性を前提とした議論に実感がもてないのだ。

 要するに、私にとって男性性とか女性性は内心の問題ではなく、社会規範でしかない。たとえば、ある人物がある社会基準において「男性らしい」行動を採ったら男らしくなるし、「女性らしい」行動を採ったら女らしくなるから、この人物の内心が男性か女性か、あるいはその両方を備えているかどうかは全然重要ではないわけだ。

 こういう価値規範を私が身につけたのは、間違いなく北関東から東北にかけての男児教育を受けたからだ。この教育において最初に教えられるのは、「生物学的に男性でも、男児教育を習得しない限り男らしくはなれない」というもので、つまり生物学的に男性であっても、男児教育をクリアせねば(社会的な意味においての)男性にはなれないのである。これだと、ユングもフロイドも全滅だ。

 同時に、ジェンダーフリー運動とかアンチジェンダーフリー運動も全滅である。生まれながら(生物学的)にして男性的とか女性的という説明はもちろん全滅だし、社会環境に影響を受けて男らしさや女らしさが形成される、という理論も成立があやしいという話になってしまうからだ。つまり、北関東から東北地方の男児教育の理論に従えば、男児教育は意志的、人工的な学習体系なので、これを受けた経験のない男性や女性は、自然に「女らしく」なってしまうのだ(こうやって文章に書いていて思うけど、ものすごく差別的な思想だよなぁ)。

 そう言う次第で、私と同じような男児教育を受けた男性は、実はアンチジェンダーフリー運動に関して極めて懐疑的である。ぶっちゃけ、この運動を支持している男性の出自が関西以西か、関東近辺では水戸学が定着した茨城出身者とその関係者であるケースが非常に多いことから、生得的な男性性を前提とした「男らしくない」ローカルな男児教育が、アンチジェンダーフリー運動と混合しているんじゃないかと疑っているわけだ。

 まあ、実態がどうであれ、「男は首が取れるまで泣いてはいけない」と最初に教わった身からすると、「男らしさは生得的なモノ」とか「男らしさは社会的な規範で内在化する」という話を聞くたびに、木刀か机の脚で相手の顔面を殴りつけて「早く生得的なものを出してみろ!」とか「さっさと内在化した社会規範を出しやがれ!」という陰湿な気持ちにはさせられるよね。

 本日も低空飛行は相変わらず。ただし、前日と比較して頭の回転の速さが戻ってきているのが救い。新作の設定書き起こし、あがってきた表紙デザインの変更打ち合わせ、そして中身の製作に従事。

 今朝からいよいよ参院選投票開始。これで、ようやく結果がキッチリでるので、私の心もスッキリす………あれ?

5件のコメント

[C3]

はじめまして。
おそらく北関東文化圏で育ったと思うのですが、
男児教育を習得しそこなった身としては、その教育の実態について、そうした環境のまっただ中にいながら、何となくしか分からないモヤモヤ感がずーっとあります。
非常に忙しそうなことが日記から伝わってきますが、男児教育について説明されているサイトや書籍などがありましたら、お教えいただけないでしょうか。
私の想像でいうと、咳払いを頻繁に繰り出しながら、目線は伏せ気味で、しかめっつらぽく前屈みで肩を張り出して、お互い石のようになって、北関東から都心への2時間半ほどの満員電車のなかを耐え抜く中年男性の姿に結晶化されているような何かでしょうか?(ちょっとルサンチマンが入ってます。)
  • 2007-07-29
  • 投稿者 : 元埼玉今千葉
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[C4] 事前に調べてみたんですが

元埼玉今千葉さん

ブログに書く前に私も調べてみたんですが、書籍は見つかりませんでした。サイトに関しては時間があったら調べてみます。
ただ、男児教育というのは、あまりにもカルトじみているので既に絶滅しているんじゃないでしょうか? あんなもの習わない方がマシでしょう。偏見が身に付くだけですから。
私は元の人格が緩かったので比較的早期に偏見から抜けたつもりだったんですけど、まだどこかに残ってますもんね。男性にも女性的な側面は当然あるわけで、それを普通に出せる社会なり人格なりの方がマトモだと思いますよ。
  • 2007-07-29
  • 投稿者 : 鳥山仁
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  • 編集

[C5]

>ただ、男児教育というのは、あまりにもカルトじみているので既に絶滅しているんじゃないでしょうか?

ああ、今ではその教育の遺風がある世代や場所にちょっと残っているぐらいということでしょうか?私は20代後半ですが、個人的には、小学・中学・高校と北関東ヤンキー文化の南端と言われる埼玉の地元で、大学も埼玉と東京の境のような所だったので、なにかそういう遺風が過剰に気になるのかもしれません。
直接的な自己表出より、ある種の行動の段取りを見せつけることがマッチョであるというような、いわんとすることは専ら気配に漂わせて、伝わらないことには耐え抜く意思力=マッチョみたいな姿勢がやっぱりあるというか、関東圏以外では成人男性の態度が必ずしもこのようにハイコンテクスチュアルでないというか、そういうことを感じた覚えがあるのですが…(男児教育の意味している内容がぜんぜんものでしたらすいません)。
  • 2007-07-30
  • 投稿者 : 元埼玉今千葉
  • URL
  • 編集

[C6]

あ、コメントの最後は(男児教育の意味している内容がぜんぜん違うものでしたらすいません)です。
  • 2007-07-30
  • 投稿者 : 元埼玉今千葉
  • URL
  • 編集

[C7]

 私も昔は埼玉在住で、今は都内に住んでいますが、近辺で男児教育の痕跡が残っている場所というのは皆無ですね。
 で、男児教育というのは突き詰めれば感情のコントロールを行うための経験的なノウハウだと思います。たとえば、泣くな、笑うなというのは東西を問わず男児教育でやらされることで、要は特定の感情を喚起させるシチュエーション下で、あえてその感情を抑圧するのがマッチョということではないでしょうか? その結果として、おっしゃるように無口なタイプになる場合もあれば、一見すると冷淡なタイプになる場合もあるんじゃないかと思います。
 ただ、北関東近辺の男児教育で特異なのは、それが男性性の生得的なものを伸ばすという発想ではなくて、女性性を自然な状態と規定した上で、修練の結果として獲得できる後天的・意志的なモノだと説明される点にあると思います。
 少なくとも、私が先天的であると説明されたのは尿道の長さに関する(失礼!)ことだけで、男性は女性に比較すると尿道が長いので強い感情的な衝撃を受けても失禁がしづらいはずだというものでした。
 こうやって思い返すと、滅茶苦茶な理屈であることがあらためて実感できますよね。………完全に信じなくて良かった。危ない危ない。
  • 2007-07-30
  • 投稿者 : 鳥山仁
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toriyamazine

Author:toriyamazine
東京都出身。
高校在学中にライターとしてデビュー。
以降は編集者・ライター・ゲームディレクター・実写アダルトDVDの監督、そして作家を兼任。
仕事はSMポルノ関係全般で、小説、ゲーム、実写etc、アニメーションを除くすべてのポルノ作品を平行して制作。年間発表数は約6作品前後がコンスタント。
一般作に関しては、別名義、もしくはアンカーマンとしてのみ参加中。

追記・最近になってメールで連絡が取れないという非難が多く聞かれるようになったので、仕事用のアドレスを公開しておきます。
jjnewzine★gmail.com
です。★マークを@に変えて使ってね。

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