王様を欲しがったカエル

　本日もインフルエンザは治らず。仕事を開始したものの、熱で頭がボーッとするために、作業はまったくはかどらない。こりゃあ、スケジュールの墨守は無理だわい。発売日の変更を考えないと俺が死ぬ。というか、もう半分死んでる。

　仕方がないので、さっさと仕事を切り上げて、新年早々に締め切りが迫った他の編集者と年賀の挨拶。そこで、どういうワケか「革命的非モテ同盟ってどうなの？」と唐突な質問を受けて狼狽。非モテ同盟に関しては人的な交流がまったくないので、どうなのと言われても実体なんぞ知るわけもないのだが………と思っていると、「あの人達は、頑張れば彼女だって作れるのではないか？　どうして、そういう努力をしないのか？」と更にたたみかけられて、思わず「いや、世の中にはどんなに努力しても愛されない人間っているから」と、非モテ同盟を変な形で弁護する羽目に。

　そこから「じゃあ、誰からも愛されない人間とは一体どのような存在なのか？」という話になり、結論として「観念絵夢のことだろう」とあっさり具体名が出てしまう。観念は、

１）名前の通り、具象よりも抽象を優位な概念だと信じており、抽象を具象よりも下位だと見なす人間を馬鹿にする選民思想の持ち主。

２）いじめられっ子のくせに権威主義で、すぐに宗教とか思想などの権威付けにはしる。

　という、もう書いているだけでも生理的嫌悪感が湧いてくるような人物。特に、抽象概念を具象よりも上位だと認識している人間が、第三者から見るとどのように受け止められるのかを判定するバロメーターとして、正直な分だけ最適の存在だ。私の周りにも、抽象が具象よりも上位に存在すると主張する人間が何人かいるが、観念絵夢のサイトやインタビューを読ませて「君も具象より抽象の方が上だと思うんだよね？」と念を押すと、１００％の確率で「俺は違う」と答えるぐらい分かりやすく、抽象ＶＳ具象の決着点を示している。

　ぶっちゃけ、観念絵夢が主張するように抽象が具象よりも上位の概念であるのならば、具象としての＝実体の観念絵夢をどれだけ虐待しても構わないわけで、これを声高に訴えた段階で周囲からイジメのターゲットとしてロックオンされてしまうし、実際に彼はロックオンされていた。つまり、自分から虐められる理由を他人に提供しているのだが、観念自身がそのことをぼんやりとしか理解できない点が痛いというか切ない。そして、多かれ少なかれ抽象概念を尊重する人間には、観念と同様の非人間的な傾向がある。

　抽象概念の優位性を主張する人間の危険性については、このブログでも何度か語ってきたことだが、彼らに共通しているのは「孤立」だろう。つまり、群れとして生きること＝対他関係を構築することが本能として刷り込まれている人間という生物の中で、例外的に群れる能力を失ってしまっているために、独りで妄想するという危険な行為にふけり、その結果として抽象を優位な概念であると誤認してしまうのだ。だから、彼らにとって集団で行動する人間は「群れて行動するなんて馬鹿でがさつな存在だ」と思え、そこを端緒に選民思想が肥大化していくのだが、これが反対側から見たらどうなるのかという想像力を欠いている段階で、どちらが馬鹿でがさつかは解説不要でしょ。ほぼ１００％の確率で、抽象概念を愛する人間の方ががさつで非人間的で自己中心的ですよ。

　で、この観点から考察した場合、革命的非モテ同盟のメンバーは、まだデモという形で群れて行動しようという気概がある分だけ正気だよという着陸点を見いだして、当初の議論も終了。というか、自分がまるで詳しくない団体に関して、ああだこうだと知ったかぶりの論評をするのは無理だし、それ以前に高熱を発している状態で、まともな議論なんてできるわけがないじゃん！