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紙屋研究所の歪んだ性愛観(8)

8.
 そうした事例の中で私にとって印象的だったのは、小学生の時に高熱を発する病気にかかった結果、脳の生殖を司る部位が萎縮してしまった男児の話で、彼は自分より年下の男子を見るとフェラチオしたがり、また彼の診察を担当する医師に対しても「ねえ、僕とセックスしようよ」と、まるで普通のことのように誘いをかけてきた、というものです。この男子は「男性主義的イデオロギー」が「内在化」した結果として異常行動をとっているわけではないことは明らかで、症例を報告している精神科医の岩波明も「脳の萎縮は回復の見込みがないため、死ぬまで社会生活は無理だろう」という趣旨のコメントをしています。

 ところが、「男権主義的イデオロギー」のせいで性犯罪が起こると主張したいグループにとって、性犯罪の大半が脳の問題で起こるという結論はマズイわけです。つまり、普通に生活している男性が、イデオロギーを「内在化」させた結果としてレイプが起こらなければ、自説の根本が崩壊してしまいます(このフレーズを使うのは2度目だな)。

 そこで、APPの杉田はこの問題に対して、レイプが病理学的に解明されつつある事実は認めながらも、「これらの研究は、あくまでも逮捕された犯人を調査した結果に過ぎない。つまり、レイプ事件の犯人で未だに逮捕されていない人間が精神的に問題があるとは限らない。従って、このような研究を全面的に信頼するわけにはいかない」と述べることで、既存の犯罪研究の成果を否定しています。これが『第1の暗数問題』です。

 第1と書いたのは、もちろん第2があるからで、これはレイプ被害者に関するものです。杉田はレイプ被害者が心に深い傷を負い、その傷が甚だしい場合には自殺するとまで書いているのですが、レイプされても精神的にダメージを追わなかった女性、あるいは一時的に心の傷を負っても回復した女性(当然存在する)についてはまったく言及していません。つまり、レイプ被害者に関しては「レイプ被害を受けても平気だった」という暗数を無視しているわけです。これが『第2の暗数問題』です。

 このように、暗数を利用して自説を好き勝手に展開する方法を、表現規制派の一部は繰り返し行っており、これが反対派との対立を深める結果を招いています。ぶっちゃけ、こんな嘘をつかれたら、誰だって怒りますよ。規制派と反対派の対立の主たる原因は、「規制派が表現を法律で規制する」ことにあるのではなく、「規制派が嘘をついて表現を法律で規制しよう」ということにあるんです。

 こうした規制推進派のついている嘘の中でも最悪のものは「性的虐待を受けた女性は、一生心に傷が残る」です。病名はともかく、鬱や統合失調などの精神疾患であれば、難治性を除けば薬物による治療が可能ですし、そもそもこうした心の病が発病する原因が、レイプを含む性的虐待の時のみ難治性になるという話など聞いたことがありません。

 むしろ私が調べた範囲では、精神病患者や知的障害者がレイプや性虐待の犠牲になる事が多い、という規制推進派とはまったく逆の結果で、その理由は精神疾患や先天的な脳の疾患によって判断力が落ちているので騙しやすい、というものです。つまり、レイプや同意のない性行為をしたがる人間に計画性がある場合、判断力の低い人間を狙うため、レイプされた女性が精神疾患になるのではなく、精神疾患の女性がレイプ犯の標的になりやすい、ということです。

 たとえば、500人以上の女性とナンパで肉体関係を持ったとされるある男性は、その極意を「水族館に一人きりでぼーっとイルカを見ているような(メンヘル系の)女を狙え」と端的に語っています。また、ある乱交系のサークルでは、パーティーに参加する女性がいない場合、予めメンヘル系のブログなどを回って女性を物色しておいて、彼女たちに「飲みに行こう」と誘ってその場で承諾書を書かせ、乱交に持ち込むなどをしています。

 いずれもギリギリ合法ですが、どちらも「判断力が低下した女性」を狙って性行為に及ぶという点では一致しており、これは犯罪性の高い性行為に精神疾患にかかっている女性が巻き込まれやすい事例として覚えておくべきでしょう。

 また、同様の理由で性犯罪に巻き込まれやすいのが家出少女です。何故なら、家出の原因の大半が、やはり精神疾患だからです。これは、成人男性の統合失調症の患者と同様で、病態が悪化して被害妄想が募った結果、家族や会社、学校などの人間関係がすべて敵に見えて日常生活が送れなくなり、その場から蒸発してしまう、というパターンを踏みます。成人男性の場合、このままホームレスになるケースが多いのですが、女性の場合は性行為目的の男性に拾われて、運が悪いとレイプの対象になってしまうというわけです。

7件のコメント

[C1111] かさぶたはがしちゃダメっ!

人間、致命的なもんじゃなければいつか傷は癒えて行くようにできてるんです。体の傷も、心の傷も。
でもなんか最近の社会状況は犯罪がらみの憎しみをことさらに増幅する傾向にあるのがなんともなー。
ついこないだも被害者が裁判に参加する制度始まったし、裁判員制度も始まる。
例のロスの件に絡んで時効なくせの声もかまびすしい。
きのーも警察官が被害者に暴言はいたってニュースあったけど、傷害致死の被害者が「なんで殺人じゃないんだ」てネジこんだ結果らしい。やでやでだ。
時効は被害者も救うと思うんだけどな。いつまでも恨み呑んで生きるのはそりゃツラいと思うんだが。
もちろん忘れるのは無理だろーけど、思い出さなくなることはできるじゃん。なにかにつけて思い出させるってことはかさぶたひっかくことそのものだヨ。

暗数ってのはわかんないから暗数なんで、そこを恣意的に使うのはよくあるパターン。「我こそはサイレントマジョリティの代弁者」ってヤツね。
レイプに関しちゃ「心に傷を負ったが、今は元気」って人が大多数だと思う。そしてココが肝心だと思うんだけど、「その件に関しては思い出したくもない」ってのがいっとーふつーで、いっとー健全でそ。

心の免疫に不全を起こすよーな社会状況ってヤバくね?
  • 2009-01-27
  • 投稿者 : 電気屋
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  • 編集

[C1112] 宣伝臭くて失礼します

先日、一度コメントで取り上げた件についてアンケートを取っていますのでよろしければご回答願います。

公文書で使う表記は「障害」「障碍」「障がい」のどれが良いか
http://www.yoronchousa.net/vote/6763

[C1113] 電気屋さん

 まあ、それ以前のマスコミの論調が、加害者に同情的な内容が多かった分の反動だと思いますよ。

 たとえば、死刑囚の永山則夫が典型ですが、貧乏だったから強盗殺人を犯したは「ふざけるな」と思います。

 でも、病気が回復しないが嘘なのも事実で、しないのでれば治療法に疑問を持つべきでしょう。普通の怪我なら、そうしますよね? でも、心の傷だと原因追求に拘泥します。その理由は何だ、ということです。
  • 2009-01-29
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
  • 編集

[C1114]

規制推進派にとって「心の傷が消えない」は病気ではないですし、嘘でもありません。

なぜなら連中の大半が自覚のない病人だからです。

というか、実際に被害児童のケアをやっている面子も含めて、病気に対する意識の低さはどうにかならないですかね。

無理?
  • 2009-01-29
  • 投稿者 :
  • URL
  • 編集

[C1118] nazo-さん

回答しておきました。
個人的には、障害と障碍は別物と思っていますけど(理由に関しては、前回答えた通りです)、公的文章で統一をするというのであれば障碍で良いと思います。
  • 2009-01-31
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
  • 編集

[C1119] 1114さん

無理だと思います。
特定の事象、この場合は性的虐待が原因で精神病になったという主張が怪しいですし、そもそも特定の事象が原因で精神病になると難治性になってしまうという主張そのものが嘘です。

でも、ここまで大々的に宣伝してしまうと撤回は不可能ですよね? ソフトランディングは不可能じゃないですか?
  • 2009-01-31
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
  • 編集

[C1123]

児童買春被害者のシェルターを運営している某弁護士によると、収容される児童のほとんどが親族から虐待を受けていて、家出->売春というルートを辿っているそうなのですが、虐待自体が被害妄想だったらにんともかんともですね。

因みにそのシェルターでは重症になるとリストカットを繰り返したり薬の大量服用したりする児童がいるそうですが、その弁護士によると「うちには本当の病人はいない」だそうです。

どっとはらい。
  • 2009-01-31
  • 投稿者 : 1114
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toriyamazine

Author:toriyamazine
東京都出身。
高校在学中にライターとしてデビュー。
以降は編集者・ライター・ゲームディレクター・実写アダルトDVDの監督、そして作家を兼任。
仕事はSMポルノ関係全般で、小説、ゲーム、実写etc、アニメーションを除くすべてのポルノ作品を平行して制作。年間発表数は約6作品前後がコンスタント。
一般作に関しては、別名義、もしくはアンカーマンとしてのみ参加中。

追記・最近になってメールで連絡が取れないという非難が多く聞かれるようになったので、仕事用のアドレスを公開しておきます。
jjnewzine★gmail.com
です。★マークを@に変えて使ってね。

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