王様を欲しがったカエル
作家・シナリオライター・編集者を兼任する鳥山仁の備忘録です。
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06/01のツイートまとめ
- toriyamazine
(16)以上、時間序列をひっくり返す作話技法のメリットとデメリットを記述した。それにしても、まさか自分がこんな商売上のテクニックについて話をする年齢になるとはねえ……。昔は失敗して沈没する作家を指さして笑ってたのになあ。ああ、嫌だ、嫌だ。
06-01 05:44(15)また、作家が作品内で頻繁に時間をひっくり返したがるのは、どこかで作家本人が自分の創る作品に対して「時序列通りに話を書いていたら、詰まらないからひっくり返すか」と思っている証拠で、その段階でお話としては黄信号なのだ。自分が詰まらないと思っている作品を、読者が喜ぶ確率は低い。
06-01 05:37(14)読みづらくなる理由については説明不要だろう。読者が一度読んだ内容を読み返す、あるいは思い返さなければならないからだ。これが一度で済むなら、娯楽小説の範疇を逸脱しないが、同じ作品内で何度も時間序列の転倒をやっていると、大半の読者は途中で作品を投げ出してしまう。
06-01 05:31(13)ただ、それでも時序列を倒置させることによって、情報の欠損を作り、同時にオープニングにインパクトのあるシーンを持ってくることによって、読者の興味を惹くという方法はリスクが高い。その理由は「読みにくくなる」で、これもこのタイプの作家に共通した問題点だ。
06-01 05:12(11)……大ヒットを飛ばした作家は例外で、順調にパイは縮小しても食っていける可能性が残っているが、それ以外の作家は「何か一工夫」をする必要がある。ライトノベル系で、この「一工夫」が恐らく最も上手いのは榊一郎だろう。時序列をひっくり返したがる傾向のある作家には参考になる作家だ。
06-01 05:04(10)…読者も馬鹿じゃないので、二冊目、三冊目で「またこの手口かよ」となって、購入リストから外してしまうのである。つまり、待っているのは廃業という厳しい現実で、長続きしなかった作家の大半が、実はこのメソッドで作品を創っている。もちろん、処女作でこの方法を使い……
06-01 04:47(9)時序列問題が何で「問題」なのかというと、これがあまりにもお手軽すぎて、すぐに手品のタネが読者にばれてしまうことだ。先述のように、詰まらない話で読者の興味を惹く有効な手段は、情報の欠損を作り、そこに話の焦点を当てていけばいいわけだが、これを時序列の倒置でお手軽にやっていると…
06-01 04:41(8)この方法を、もっと大胆に使用すると、最初に印象的な事件を書いておいて、次の章から時間を「巻き戻して」その事件が起きた経緯を語れば、トリックやアリバイなどのパズル的な要素が全くなくてもミステリが「成立」してしまう。これが、娯楽小説における時序列問題だ。
06-01 04:30(7)ところが厄介なことに、情報を隠す最も手っ取り早い方法は「時序列を滅茶苦茶にする」なのだ。たとえば、殺人事件が起きてから探偵が現地にやってくる、という展開のミステリの場合、最初に起きた事件の概要は後から犯人、もしくは探偵によって語られるという感じで時序列が逆転している。
06-01 04:25(6)ただし、その際にできる限りやらなければならないことがある。それは、ストーリーの時序列を可能な限り事件が起きた順番に並べる、というものだ。要するにサスペンスは「爆弾が爆発するかどうか?」によって興味を惹く方法なので、最初からその結果が分かっていたら意味が無くなってしまうのだ。
06-01 04:06(5)この両者は、一見すると水と油の関係だが、必ずしも1つの作品に2つの要素が入らないというわけではない。たとえば、殺人事件が次々と起こり「誰が次に殺されるか分からない」という状況下で犯人とその犯行方法、動機も調べなければならない、という作品は創れるし、また複数の作品が存在する。
06-01 03:48(4)ヒッチコックによれば、ある場所に爆弾が仕掛けられていたとして、その爆弾を「誰が仕掛けたのか?」がテーマになるのがミステリで、「その爆弾が爆発するのか? あるいは未然に止められるのか?」がテーマになるのがサスペンスである、ということになる。繰り返しになるが、この説明は上手い。
06-01 03:36(3)こちらはジャンル的に「サスペンス」と呼ばれるもので、その語源は「宙ぶらりん・どっちつかず」を意味するsuspendという説がある。両者の違いを上手に説明したのは、著名な映画監督であるアルフレッド・ヒッチコックだ。彼は「爆弾」のたとえでミステリとサスペンスの区分をした。
06-01 03:33(2)もしも、最初から犯人も犯行動機も犯行の方法も分かっていたら、大半の読者の気を惹くことは難しいのは自明の理で、これを避けたい場合は「犯人が捕まるか逃げ切るか?」を主題にしなければならない。ミステリの世界では、これを「倒叙」と呼ぶが、実は娯楽作品としてはこちらが正統である。
06-01 03:28(1)詰まらない話で、読者を惹きつける有効な方法は1つしかない。それは「情報を隠す」だ。ミステリはその典型で、殺人事件(あるいは単なる事件)の犯人と犯行動機、犯行の方法を「隠す」。こうすることによって、読者の興味(もしくは知的好奇心)を刺激して、「続きを見たい」と思わせるわけだ。
06-01 03:23
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