王様を欲しがったカエル

　久々のご報告。来週あたりからロビイングを復活させる予定です。案件は３つあって、そのうちの１つが児童ポルノ禁止法に関係する内容です。で、言うまでもなく一番テンションが上がらないのがこの案件です。理由に関しては、既に一GT掲示板参加者さんがコメント欄でお書きになったように、

　「児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」については、法案担当者の千葉景子参院議員が説明。現行法ではあいまいな児童ポルノの定義の明確化、児童ポルノ取得罪の新設、罰則の法定刑引き上げ、被害児童の保護に関する制度の充実・強化などを柱とする法案内容を了承した。いわゆる「単純保持」については、正当な理由なく、有償または２回以上の取得をした者に対して罰則を設けられることとし、提供目的以外の児童ポルノ所持についても、実質的に処罰範囲に含まれることとなる。

　民主党案に児童ポルノ取得罪の新設が盛り込まれている点にあります。つまり、自民党、公明党の与党が、児童ポルノの単純所持罰則化に乗り気なのに較べると、民主党案は冤罪の可能性をできるだけ排除しつつ、やはり事実上の単純所持禁止を目指した形になっているわけです。

　ここ１年ほどの規制反対派の主要なロジックは、冤罪発生の可能性を憂慮するというものでした。そして、民主党案はこれらの主張に（外面は）配慮した内容になっています。こうなると、自公案はともかく民主案には反対しづらく、どうしたらいいんだろうねぇとなるわけです。

　で、ですね。このブログを長期間に亘って閲覧していらっしゃる方は分かっていらっしゃるでしょうが、私は約１年前の３月１４日の日記で、

　まあ、そんなこんなで、世間様とは少しというかかなりというかずれている規制反対派内部独自の価値観だが、児童ポルノによるえん罪はその代表的なものの１つだろう。これは、児童ポルノをメールで添付して相手に送りつける（もしくは児童ポルノのデータが入ったＤＶＤなりＣＤ－ＲＯＭなりをを室内に置かれる）と、これを受け取った人間は自動的に単純所持者になるので逮捕される可能性が発生するというもので、このシチュエーションだけを考えれば確かに事実。また、単純所持を禁止している各国でも、児童ポルノ、及びに児童虐待問題でえん罪が出ているのも事実。

　問題なのは、他の性犯罪でもえん罪事件が起こっているのも事実な点で、たとえば痴漢はえん罪事件が結構多い。ぶっちゃけ、電車で通勤、通学している人にとって、児童ポルノよりも痴漢の方がえん罪で引っかかる可能性が高いのに、痴漢を違法化するなとは言えないのと同じロジックで、単純所持を違法化するなとは言えないから、法案成立を阻止するストッピングパワーとしては弱い。というか、単純所持規制が実現した際の条件闘争ぐらいの意味しかないのが実情だろう。やらないよりはマシだろうけど。

　と書いてるわけです。現実も、この日記を書いた段階で私がシミュレーションした通りに動いています。

　まず、私がイライラ来るのは「何で規制反対派の主要な面子は、この程度のシミュレーションができないんだ？」という点にあります。子供ならともかく、大人がこの程度の予測ができないのは何故？　頭が悪い以前の問題でしょ？　理由が分からない。

　でもまあ、人間はミスをする生き物です。完璧な人間など、この世には存在しません。だから、これもミスの１つとして見逃すとしましょう。「学ぶは真似ぶ」とか馬鹿をぬかしている規制反対派も結構いますけど、現実の学習というのは失敗から学ぶ＝失敗した人間の真似をしない、という側面もありますからね。失敗したら、そこから教訓を得ればいいんです。

　が、次にイライラ来るのは「冤罪憂慮以外の有効な対抗言説がない」ことです。つまり、１年もあったのに、他の作戦計画がないんですよ。普通、プランＡが失敗した時のことを考えて、プランＢ、プランＣを用意するものでしょ？　これが、正しい学習ってやつですよ。

　ところが、今の規制反対派には冤罪憂慮で平押しする戦術以外、まともな方法が見あたらない。まるで、太平洋戦争の時に、真珠湾攻撃作戦以外のプランを持たなかった日本海軍並のお粗末さですよ。これじゃ、失敗の教訓なんて活かせっこありません。そこまで旧日本軍に似る必要はないと思うんですけどね。学ぶは真似ぶですか？　それとも、プランを１つに絞るのは、日本独自の文化ってことなんですかね？　複数のプランを作らない理由が分からない。

　にもかかわらず、規制反対派内部では「今まで長期的計画を練らなかったのが苦戦に繋がっている」と主張しているトンデモがいるんです。こいつらが一番頭に来る。正気か？　１年後のことさえまともに予測できない人間に、何で長期間に亘る計画が立案可能なんですか？　無理でしょ？

　そもそも、人間には未来は予測できないんですよ。だから、ソ連を初めとした５カ年計画（長期計画）をやった社会主義国は、ことごとく破綻したんです。これが現実です。つまり、長期に亘る計画の立案なんて不可能なんです。短期の計画を複数持っておいて、それを状況に応じて使い分けなければ、現実に対応した行動なんてとれるわきゃないでしょ？

　というわけで、今後の私の行動ですが、予想通りの展開になったので、冤罪憂慮は冤罪憂慮として進めつつも、プランＢやプランＣも実行に移すことにします。この方法はリスクがあるからあんまりやりたくなかったんですけど、もうリスクとリターンを天秤にかけている時期ではないので、今のうちに「悪い方に転んだらスマン！」と言っておきますが、内容に関しては秘密です。というか、味方に足を引っ張られたくないから、秘密にせざるを得ないんですけどね。

成功確率は……５％ぐらいかな？