王様を欲しがったカエル

　明けましておめでとうございます。

　本年もよろしくお願い致します。

　去年の年末は久方ぶりのコミケで売り子をやって参りました。

　お陰様でライフルサイクルが狂い、未だに元に戻っておりません。

　ケチのつき始めは前日に知人のコピー誌を手伝ったこと。その合間にカタログなんぞを拝読していたわけですが、まずカットに書いてある女の子が全員同じ顔に見える。こりゃあアカンと思って「オリジナリティは細部に宿る」と呟きながら見直すんですけど、やっぱり同じにしか見えない。よく考えたら、特定のキャラを扱ったサークルを同じ島に配置しているんだから、キャラが似てくるのは当然なんですが、今度はそのキャラの名前が思い出せない。「これは、けいおんの……えーっと、何だっけ？」といった按配で、睡眠不足に老人力が加わったダブルインパクトが炸裂。

　そんなこんなで、コミケ会場に到着する頃には既に立っているのもやっとという有様。「歳を取ったなぁ……」と嘆息するのと同時に「ちゃんと売り子ができるだろうか？」という不安が頭をもたげてきます。

　しかし、後者の方は完全な杞憂でした。五年振りぐらいにブースに座って売り子をしたにもかかわらず、僅か三分程度で復調。昔取った杵柄とは言ったもんです。ただし、眠気のせいで何度もブースで失神してましたけどね。

　そんなわけで販売の方は順調に行ったんですが、問題だったのは買う方。カタログを見た段階でチョイスできたのは、菊水酒楼とＡｘＧｘの２つのみ。昔からイベントに出ても本はあまり買わないクチではあったんですが、コレじゃあんまりにも少なすぎだろう……と思いつつも、交替時間を狙ってお買い物タイムに突入。

　菊水先生のゲームは無事に入手できたんですが、ＡＧタンの本が出てない……。何故？　昔の同人誌に色を塗っただけのはずなのに何故？　仕方がないので、少しでもお買いあげ実績を増やすべく「変態島」の異名を持つサークル群をぐるぐる回ったものの、欲しい本がちっとも見つかりません。

　内容がぬるすぎるんですよ。なんというか「そんなことは、もう全部リアルでやったんだよ！　あぁ、もうっ！」って感じのプレイばっかりなんです。

　かなりがっかりしつつブースに戻って知人に事情を説明すると「鳥山さん、もう、マンガじゃ興奮しないんじゃ？」という突っ込みが返ってきます。いやいや。マンガでもちゃんと興奮できますヨ。でもね、既に実体験として自分がやっていることが漫画になっていても「そこは、こう、違うんだよなー」という気持ちが先行しちゃって、どうしても没入できないじゃないですか。ＡＶを見ていると、知っているレンタルスタジオで撮影しているのに気づいて冷めちゃう感じ？

　こうして、持ち込んだ本を売り切る頃になっても戦果は増えず、結局手にしていたのは菊水先生のゲームのみ。ああ、アカンなぁ。今年こそ、自分でちゃんと実用に耐えうるレベルのエロ本を作らないと！