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僕の恋愛指南本

 ここ数日は撮影で地方への出張が多くて疲弊。実は、今週も来週も似たようなスケジュールなので、どうしてくれようかと思案中。そんな中で、どういうワケか立て続けに恋愛に関する相談を受ける。「ああ、俺もそんな年齢になってしまったのだなぁ」と感慨にふけりつつも、「それなら、いっそのこと恋愛に関する文章でも書くか」と執筆を始めた直後に計画が頓挫。

 その理由は明白で、恋愛という抽象概念が時代によって大きく変化してきたことにある。近代日本において、昭和の中頃まで恋愛とは反社会的というか、家父長制に反する行為であり、社会主義や変態プレイと密接な関連性があった。

 ところが、労働人口に占める第一次産業の割合が低下し、女性の社会進出が進むに連れて、恋愛は次第に自明のものとして受け取られ、今では恋愛をしない、できない人間の方が変態扱いされる有様である。このコペルニクス的な価値観の転換は化粧に対するそれとよく似ている。戦前の女子を不良と判断する基準の1つに「化粧をしないこと」があったのだが、これがひっくり返ったのは1930年代中期から日本が戦時経済という名目で社会主義経済を採用してからだ。

 ところが、恋愛を消費社会の手先と批判したり、化粧を「男性を騙すテクニック」として批判する男性の多くが、これを資本主義や自由主義と関連づけているのは興味深い。時代からオミットされちゃった側の人間にも、どこかで価値の転倒が起こってしまっているのである。

 こういう状況下で、「そもそも恋愛とは………」と一席ぶつのは難しい。正直に告白すると、適当な切り口が見あたらない。個人的に実感がもてる恋愛に対する格言は、"All is fair in love and war."(恋愛と戦争はすべてが正当化される)と、その戦争の天才であったナポレオン・ボナパルトが語ったとされる「恋愛を前にした時のただひとつの勇気は逃げることである」の2つだが、たぶん、こんな話をしても大部分の人にとっては「はぁ?」と言われるのが関の山だ。

 で、それを承知で敢えて先を続けさせて貰うが、恋愛というのは戦争とよく似ており、正直者と教条主義者、マニュアル人間には著しく不利なゲームだと思う。手順通りに物事を運ぼうとすると必ず裏をかかれるし、攻撃意図を見抜かれた段階で相手に逃げられる。つまり、意図の秘匿と奇襲が肝要なのだ。

 じゃあ、どれぐらい意図の秘匿が肝要かというと、ここから先は私の知る限りの具体的な事例を挙げてみよう。

1)A君のケース
 知り合いの女性から、「相談したいことがある」と夜のファミレスに呼び出されたA君。しかし、この女性が要領を得ない会話しかしない間に時間だけが過ぎていき、いつのまにか終電を逃してしまう。家に帰れなくなったA君は仕方なく女性の家に宿泊することになり、家に入った途端に女性に押し倒されて逆レイプされてしまう。

2)B君のケース
 知り合いの女性から「ドライブに行こう」と誘われたB君。うかうかと女性の車に乗ってしまった彼は、そのままドライブどころかカーセックスの名所まで乗せられていき、その場で逆レイプされてしまう。

3)C君のケース
 知り合いの女性から「今度、部屋の模様替えをしたいんだけど、洗濯機とかタンスが重くて運べないの。手伝ってくれないかしら?」と持ちかけられたお人好しのC君。何の疑問も抱かずに女性の家に行き、模様替えを手伝わされ、疲れ果てて動きが鈍くなったところを逆レイプされてしまう。

4)D君のケース
 色々あって、東京の会社を辞めて地元に戻ってきたD君。小学校時代の幼なじみの女性と再会し、「今度、ウチに食事に来ない?」と誘われる。東京での生活に疲れ、少し心を病んでいたD君は、地元での暖かみ溢れる歓迎に感激して幼なじみの招待を受けるが、食事をしてから家に戻ろうとすると、彼女から「お前はただ食事をして帰るつもりなのか? それでもお前は男か?」と説教されたあげくに逆レイプされる。

 どうですか皆さん? 恋愛とは斯様に恐ろしいもので、成功者の大半は不意打ちで相手を仕留めているのですよ。こんなものを、マニュアル化しようという試みそのものが間違ってますよね? ね? ナポレオンは正しいんじゃよ。

8件のコメント

[C135]

せんせー、なんで逆レイプの事例しかないんでしょうか?(笑)

そもそもせんせーに恋愛相談すること自体が
根本的に間違っているような…?(苦笑)
  • 2008-01-17
  • 投稿者 : きはらん
  • URL
  • 編集

[C136]

戦時社会主義の導入と化粧の一般化には、どのような関連があるのでしょうか?
全く想像もつかないので、もう少し詳しく教えて戴けると助かります。

[C137]

 先生! 身を飾るアクセサリーや化粧なんてのは、縄文時代から確認されている筈なんですが、それを解説するのに何故に資本主義やらなにやらを引っ張り出さにゃならんのですか。全然理解できません。

 以前にもネタにされてたような気がしましたが、露出度の高い格好をしている女性を指して「ああいう女は男を誘っている」云々と非難する男に、「じゃあおまえ、誘ってみろよ。簡単にホテルへしけ込めるんだろ」と言ってやると、途端に絶句するか、「ああいう女は好みじゃない」とか言って逃げ出し、いつまでも彼女無し状態を続けるのはどうしてでしょう。彼女が欲しいなら、「男を誘う女」(つまり、彼氏募集中の女性)が大勢いるのは目出度いことではないですか。けど、こういう男に限って、世の乱れを嘆くばかりで、彼女無し状態を延々と積み重ねています。不思議でなりません。教えてくらさい。
  • 2008-01-18
  • 投稿者 : Seven
  • URL
  • 編集

[C138]

>Seven氏
 ちょっと横レス。
 個人的には、露出度の高い女性を非難するタイプの男性は、鳥山氏言うところの「セックスヘイター」の亜種ではないかと考えています。彼らはもともとセックスを恐怖または嫌悪していて、それを韜晦するために女性を非難しているのだ、と考えれば話はすっきりします。

[C139]

>烏蛇氏

 これまた以前に鳥山氏が指摘していたことですが、ミソジニー(女性嫌悪)の男性というのは、早漏だったりする(つまり性交渉が下手)場合が多く、それが原因でセックスヘイターになるケースもあるでしょう。情けない話に磨きがかかるだけなんじゃないか、という気もしちゃいますけれど。
 また、露出度の高い服を着ているからと言って、「おまいに向かって露出してる」訳じゃないのです。相手は見ず知らずの男の事なんて気にもしてませんよ。「男を誘っている」とも限りません。今時のファッション界、もしくは彼女の仲間内では、珍しくもない格好かもしれません。要するに、ミソジニーの理屈というのは、被害妄想に過ぎないんですね。

 問題人物にはよく見られる現象なんですが、彼らは自分を特別な存在だと考えているケースが多く、おそらくそれが原因で、「対等」とか「平等」とか言う概念を理解できません。すなわち、あらゆる人間関係を上下関係か、「支配する側、される側」でしか解釈できません。対等な人間関係という物が、脳からこぼれ落ちてしまっているようです。

 対等な人間関係を理解できないという現象は、彼らの思想信条にも重大な影響を与えるでしょう。「弱者は不当に優遇されている特権階級だ」なんて主張もありますね。身障者のような人達は、最初から大きなハンデを背負っているのだから、何らかの援助がないと、平等な社会生活を営めないのではないか、と、私なんかは思うのですが、どうも彼らはこの「平等」という目的そのものを理解できないらしいのです。で、どう考えるのかというと、

1・弱者は社会から援助を受けている。
2・社会から援助を引き出しているということは、弱者が社会を支配しているということだ。
3・つまり、弱者は社会を支配している強者なのだ!
4・俺は弱者に支配されている! これは差別だ! 弱者への支援を撤廃せよ!

 ……てな具合になるらしいのです。妄想も大概にしろと言いたくなりますけれど。
  • 2008-01-19
  • 投稿者 : Seven
  • URL
  • 編集

[C140]

きはらんさん

そりゃあ、普通にレイプは犯罪だからですよ(爆)。
という冗談はさておき、実はB君は私ときはらんさんの顔見知りです。
他のことに関しては、補記という形でブログにアップします。
  • 2008-01-19
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
  • 編集

[C141]

烏蛇さん、sevenさん

コメント欄で返答しようと思ったんですけど、文章量が明らかに多くなるのでブログで別途に文章を書き起こします。

今しばらくお待ち下さい。
  • 2008-01-19
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
  • 編集

[C142] 管理人のみ閲覧できます

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  • 2008-01-19
  • 投稿者 :
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toriyamazine

Author:toriyamazine
東京都出身。
高校在学中にライターとしてデビュー。
以降は編集者・ライター・ゲームディレクター・実写アダルトDVDの監督、そして作家を兼任。
仕事はSMポルノ関係全般で、小説、ゲーム、実写etc、アニメーションを除くすべてのポルノ作品を平行して制作。年間発表数は約6作品前後がコンスタント。
一般作に関しては、別名義、もしくはアンカーマンとしてのみ参加中。

追記・最近になってメールで連絡が取れないという非難が多く聞かれるようになったので、仕事用のアドレスを公開しておきます。
jjnewzine★gmail.com
です。★マークを@に変えて使ってね。

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