王様を欲しがったカエル

　本日は某出版社の企画会議に出席。合計で２冊のポルノ作品の出版許可を取り付ける。問題になってしまったのは３冊目で、こっちは非ポルノ系のノンフィクション作品だったのだが、出版社の都合とはまったく無関係の事情で頓挫。

　実は去年の１２月頃から、今の政治状況を予想して北京オリンピックとチベット問題を扱った内容の作品を企画。この問題に詳しいライター氏も押さえて、後は出版流通からゴーサインさえ出れば一気に本の製作に取りかかれる状況だった。しかも、北京オリンピックを巡る政治状況は、私の予想通りに展開。こりゃあラッキーだぜ……と思っていたのもつかの間。あまりにもどんピシャに状況を当てすぎたせいで、某所から圧力がかかって出版流通が本の取引を拒否してきたのだ。

　ただし、取引拒否の予兆は最初からあった。企画を動かして、出版流通と打ち合わせを始めた当初から、あちら側が「内容によって流通量を決定したいので、作品の概要と目次、作品の表紙案を提出して欲しい」と迫ってきたからだ。事実上の事前検閲である。しかし、これを拒絶すると流通業者が取引をしてくれないので、仕方なく内容を百倍ほど薄めたものを提出はしたものの、某所から事前に出されていた警告に私の企画が引っかかったらしく、非常に遠回しな言い方で「出版するのは自由ですけど、ウチでは取り扱いません」と流通を拒否される。

　さすがの私も腹が立ったので、先方に「某所から圧力がかかったんですよね？」と問い合わせると、あちらも驚いたようで「何で分かったんですか？」と圧力の存在を肯定。ポルノ製作に長く関わっているために、嫌でも表現の自由と向き合わねばならないから、この程度では驚くようなタマじゃないけれど、それにしても今回の一件は露骨すぎる。チベット問題で中国政府をバッシングするのは許されても、××を叩くのは許されないということがよーく分かりました。

　まあ、ノンフィクション系は主要な仕事じゃないし、今後のことも考えてそれ以上の抗議はしなかったが、自分とノンフィクションの相性の悪さを再確認。前から核心をついた記事は、流通の段階で不思議な力によって潰されるということは分かっていたのだけれど、まさか自分が当たりを引くとは思わなかった。

　で、この一件にイライラしながら児童ポルノ規制反対派関係のサイトを回っていて、いつも舌禍を引き起こす素敵な皆さんが、相変わらず自分を省みない馬鹿発言をしているのを見て怒りが爆発。舌禍魔はたった一言で周囲の怒りを買う存在だから、本人は「自分はたいしたことをしていないのに」と被害感情を抱きやすい（実際に、舌禍事件を起こす人間よりも、ずっと悪いことをしている無口な人はいくらでもいます）ことを知りつつも攻撃を決意。

　舌禍魔に「口のきき方に気をつけろ」と言われることほど、腹が立つことって滅多にないんだよね。分かる？