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Tainted Love(汚れた愛)千本ノック。(カヴァーヴァージョン聞き比べ・その2)

 大阪で撮影した後に帰京。その時のエピソードは、それはそれで面白いから後で文章にするつもりなんだけど、とりあえず脇に置いておいて作業を再開。ぶっちゃけ、時間が全くない。スケジュールを確認するまでもなく間に合わないことが分かったので、ついに本の1冊に関して発売を延期することに。うーん。

 で、精神安定剤として聞き始めたのがTainted Love(汚れた愛)と、そのカバーバージョン。原曲を歌っていたのはグロリア・ジョーンズという60年代から70年代にかけて活躍した女性ボーカリストなんだけど、間違いなく日本では無名でしょ。わずかに、グラム・ロックを代表するバンドとして知られているT-REXのリーダーであるマーク・ボランの愛人で、かつ彼を自動車事故で殺しちゃったサゲマンな人、ぐらいのポジションで知られているはず。

 ただ、この曲が英米でも有名になったのはずっと後のことで、ニュー・ウェイブを代表するバンドである、ソフト・セルがカバーしたバージョンが大ヒットを記録したから。ニュー・ウェイブという音楽ムーブメントは、当時としてはゲイ・カルチャーを前面に押し立てた革新的なものだったんだけど、ソフト・セルも例外ではなく、ボーカルのマーク・アーモンドはバリバリのオネェ系ゲイ。PVも「モロ」な上に小児性愛的なテイストもあって、20年以上前によくこんな露骨なものが公開できたなぁ……と感心していたら、実はオリジナルPVの方がゲイ色がもっと濃厚だったという二段オチでした。

 それにしても、あっちのマゾヒストやゲイの人は、白いランニングシャツが好きだよな。日本のロリコンが、白いパンツとかスクール水着とかブルマーが好きなのと一緒だね。ちなみに、この曲の邦題は「汚れなき愛」で、英語の意味とは正反対です。誤訳なんでしょうか?

 このソフト・セルのヒットに影響されて同曲をカバーしたのがコイル。と言っても、知ってる人はよっぽどの洋楽マニアだと思うので一応解説しておくと、インダストリアル・ミュージックの始祖とされる、スロッビング・グリッスルを結成したメンバーである、ピーター・クリストファーソンが(サイキックTVの後に)結成したユニットです。余談ですが、このPVはニューヨーク近代美術館で永久展示されているそうです。まあ、クリストファーソンがロックに与えたビジュアル面での影響力の強さが評価されてのことでしょう。

 ちなみに、スロッビング・グリッスルも、メンバーの一人に女性化願望があり、整形手術までしちゃったという経緯があったりします。そもそも、バンド名が男性器の隠語だしね。コイルのPVも、モロって感じのゲイ風味に、死や腐敗のイメージを加味した、日本でいうとまだBLになってない頃のジュネ的な要素が満載。

 そのコイル的な要素を上手くポピュラーに落としたのが、マリリン・マンソン御大。一番新しいアルバムで、すっかり評価を落としちゃいましたけど、このPVを発表した当時は、まだギリギリ「客の望むモノ」を作ろうという意欲がありました。映像的には、スクールカーストのトップである、ジョックやクインビーが主催したパーティを、スクールカーストの下位に貶められているゴスが滅茶苦茶にしてしまう、という曲の歌詞とはまったく無関係かつ痛快無比な内容で、ラストで無理矢理帳尻を合わせた感じですが「自分の客層をよく分かってるなぁ」と感心させられます。

 ラストは、プッシーキャットドールズのカバー。最新作も出たばっかりなので、彼女たちに関しては説明不要でしょう。個人的には大好きなユニットなんですけど、ポジションとしては微妙?

 しかし、原曲、カバーを並べて聞いていくと分かりますが、前回紹介したジョリーンと較べると、それぞれの曲のイメージに大きな変化がほとんどありません。この辺の違いってどこから来るのか色々考えたんですけど、上手く言語化することが出来ませんでした。入りの部分が印象的な「ダンダン」って感じの打楽器調だからですかね? 不思議だ。

8件のコメント

[C815] 大阪と言えば

「何が何でも絶対に潰す」と知事が血眼になっている国際児童文学館の存続を求める決議が全会一致で採択されました。

http://www.iiclo.or.jp/hp/genjyo3.html

しかし、知事側は相変わらず「採択は重く受け止めるが、中央図書館との統廃合がベストであるとの考えに代わりは無い」とか無知蒙昧なコメントしか発していないようで一体どうなるのやら。

そんな訳で、もしまた大阪へ行く機会が有ったら是非大阪国際児童文学館へお立ち寄りくださいませ(漫画もラノベも怪奇系児童書もあるよ!)。
  • 2008-10-26
  • 投稿者 : nazo-
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[C816] マリマン懐かしい

原曲古いんですね。サウンド的に好きなのは原曲ですな。PVはマリマン以外だとソフト・セルのオリジナルじゃない方。
スクールカーストを近年知ったんでやっとマリマンのPVの意味がわかました。ホーリーウッドまあたりまでは聞いてたなぁ。

PVというとfrankie goes to hollywoodのrelaxな私。
http://jp.youtube.com/watch?v=yPLrXFw76Qg
  • 2008-10-26
  • 投稿者 : ありょーしゃ
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  • 編集

[C819] 原曲ってこんなに古かったのですね。

マリリン・マンソンが歌っていた当初はカバー曲だということは知っていましたが、まさか原曲が1964年のグロリア・ジョーンズという歌手が元だったとは知りませんでした。カバーされてからヒットしたというのもなんだか泣けてくるお話ですね。マリリン・マンソンのPVに関してはスクールカーストというものを理解していなかった当時と理解している今(ごく最近なんですが)とはイメージがかなり変わりました。このPVはすごく皮肉になっていると思います。というかマンソン自体がこのようなバンドなんですね。聞いていた当時は全く理解できていませんでした。

ソフト・セルのPVは色々とすごいですね。鳥山さんのツッコミを読んでからPVを見るともう、そうとしか見えないです。リンクを辿ってみると、ライブ映像もありましたが、やはりオネェです。

邦題で汚れなき愛ということなんですが、鳥山さんのおっしゃる通り、かなり意味が違ってきますよね? なぜでしょうかね? うーん。って私が考えても無駄なような気がしますが(^^;

お仕事大変ですね。お話を聞いている限りぶっ倒れそうなハードスケジュールですが、ぶっ倒れないようにがんばって下さい(この言葉自体矛盾してますが、体が資本とはよく言われるものですので)

[C820] 和ネタですが

洋楽は疎いので日本の歌手でネタ投下をw
キャンディーズの洋楽カヴァーです。
http://jp.youtube.com/watch?v=Aj3AGAuoDPA
ダンシング・クイーンです。
http://jp.youtube.com/watch?v=Abvmcju-7rA
シュープリームスのメドレー。途中でおっとビックリのてこ入れがw

しかし、キャンディーズって結構ちゃんと歌えるグループだったんですねえ。見直しました。今頃ですけど。
藤村美樹ちゃんは低音の魅力~♪なんですが、レコードだと小さめに録音されているのか、ハモリが薄い感じで残念なんですよねえ。
  • 2008-10-29
  • 投稿者 : Anchang
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[C822] nazo-さん

橋下は公務員の大量粛正というラインでは現行で望まれる政治体制の執行者というイメージなんですが、具体的な政策が国際児童文学館の解体で、しかもコスト的に割に合わないというのではお話になりません。まあ、東京もそうですけど何で知事というのは……と思います。

国際児童文学館は機会があったら立ち寄ります。ただ、大阪に行く時は、なんでかいつもSMがらみなんですよね。どうしてだろう?
  • 2008-10-29
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
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[C823] ありょーしゃさん

またやられた。
実はSMについて話をする時に、リラックスは避けて通れないので、いずれブログにて取り上げるつもりでした。
話は変わってマンソンがホーリーウッドまでというのは、確かにと思います。
イートミー・ドリンクミーはねぇ……。
  • 2008-10-29
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
  • 編集

[C824] mudanさん

マンソンは、ある意味アメリカの正統的なクリエーーターで、ジョックとクリスチャンを叩くことに余念がありません。だからこそ、コロンバインで起きた銃の乱射事件の際にスケープゴートにされました。

日本でも、オタクとゴスロリは「一段下」ですよね。ただ、サヨクが黄色い肌大好きな系統の民族主義の流れを汲んでいる「体育会系」なので、アメリカのように左派とカウンターカルチャーの相性が良い、というわけではありません。

また、以前にも書いたことがありますけど、日本のアニメや漫画はミリタリー系統の作品を長期に亘って無視・抑圧してきた学校教育や文化教育の成果もあって、実はファンの過半数以上が右派に該当します。この辺もアメリカとは事情が異なりますよね。
  • 2008-10-29
  • 投稿者 : 鳥山仁
  • URL
  • 編集

[C825] Anchang さん

ABBAかあ。
懐かしいなぁ。
アバというと反射的にコカコーラ、コカコーラというとヨーヨーと連想が進む私の年齢が知れますね。
実はキャンディーズに関しては、解散コンサートの映像の記憶しかありません。
あの当時の歌謡曲は女の子が聴くモノで、周りは全員ピンク・レディーでした。
  • 2008-10-29
  • 投稿者 : 鳥山仁
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toriyamazine

Author:toriyamazine
東京都出身。
高校在学中にライターとしてデビュー。
以降は編集者・ライター・ゲームディレクター・実写アダルトDVDの監督、そして作家を兼任。
仕事はSMポルノ関係全般で、小説、ゲーム、実写etc、アニメーションを除くすべてのポルノ作品を平行して制作。年間発表数は約6作品前後がコンスタント。
一般作に関しては、別名義、もしくはアンカーマンとしてのみ参加中。

追記・最近になってメールで連絡が取れないという非難が多く聞かれるようになったので、仕事用のアドレスを公開しておきます。
jjnewzine★gmail.com
です。★マークを@に変えて使ってね。

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