王様を欲しがったカエル
作家・シナリオライター・編集者を兼任する鳥山仁の備忘録です。
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「はい! 真面目にします!」
「よろしい。まず、もう少ししたら香蘭から携帯にメールが届く手はずになっている」
「……え? あの、邪神の女の子からですか?」
「そうだよ」
「あの、神様なんですよね?」
「その通り」
「どうして、神様が携帯メールで私たちに連絡を?」
「そりゃあ、決まってるじゃないか。彼女も携帯を持ってるからだよ」
1等陸尉は「当然だろう」と言わんばかりの表情で、右手の人差し指で胸ポケットに収めた携帯をシャツの上から叩いてみせた。木目が印字された安っぽい合板の上で畏まっていたさくらはあんぐりと口を開け、語彙も論理構成能力も著しく不足している小さな脳を極限まで回転させた結果として生み出された質問を口にする。
「あのですね、神様とやりとりをするのに携帯メールって、ちょっと違うって言うか……」
「何が言いたいのかね、さくら君?」
「神様なんだから、何か特別な力を使って私たちとやりとりして欲しいじゃないですか」
「どうして?」
「どうしてって……神様だからですよ。携帯は変じゃないですか?」
「そうかな? ちょっと分からないんだが……」
寸楽が首を捻りながら部下の言い分を聞いていると、彼の胸ポケットに収まっていた携帯電話が、
「メールが届きました、メールが届きました」
と女性の声でメールの着信を告げた。1等陸尉は慌てて黒い折りたたみ式電話を取り出すと、それをさくらが正座しているテーブルの傍らに置く。
「さくら君! 早くそこを降りて!」
上司にどやされた3等陸尉は、訳も分からずテーブルから飛び降りた。彼女が両足をフローリングにつけるや否や携帯電話がひとりでに開き、液晶画面からほっそりとした白い手が飛び出してくる。
児童のような小さな手には1通の封書が握られていた。手はしばらく蠢いてから封書をテーブルの上にたたきつけると、再び液晶画面の中にすうっと姿を消した。
「香蘭からのメールだ。意外に返信が早かったな」
和紙でできた長形封筒を卓上から拾い上げた寸楽は、表面に筆文字で『寸楽嘉人宛』と書かれているのを確認した。両目と口を限界まで開けた女性自衛官は、テーブルの上に転がっている携帯電話を指さしながら、
「手! 手が出た!」
と喉を振り絞って絶叫する。
「静かにしたまえ、さくら君。ご近所迷惑な上に、ここを盗聴している連中にも気の毒だ。最近の盗聴器は性能が良いからね」
「な、何言ってるんですか! 今、携帯からちっちゃい手が……」
「だから、香蘭からのメールがきたんだよ」
「め、メールって?」
「日本語で手紙という意味だろう?」
「私が馬鹿だからってからかわないで下さい! mailは郵便物で、手紙はletterですよ!」
「君も意外と細かいねぇ」
「そんなことより、あの手は何なんですか! おかしいじゃないですか!」
「だから、香蘭の手紙だよ。携帯を通じて彼女が手で紙を届けてくれたんだ」
「……え?」
超常現象に対する上司の手短な解説に、さくらの顔を形成するすべての筋肉が硬直した。寸楽は太い指で封書の端を破りながら、淡々とした口調で部下を諭す。
「相手は神なんだ。これぐらいで驚いちゃいけないよ。神だって携帯は使う。ただ、我々よりも少しだけ使い方の自由度が高いんだよ」
「じゃあ、その香蘭って神様は、いつもこんな感じで手紙を送ってくるんですか?」
「いいや。防諜目的がある時だけだよ。この方法なら、携帯電話からデータを引っこ抜けないからね」
封筒を開いた1等陸尉はテーブルの側を離れてガラス窓に近寄ると、黒いカーテンを引いて赤霧市の夜景を遮った。ようやく冷静さを取り戻したさくらは、固唾をのんで上司の行動を注視する。
端を破った封筒から寸楽の指が引っ張り出してきたのは、1枚の和紙と数枚の写真だった。和紙には達者な文字で、
「用件は了解した。伊具を使いに出す。我が家まで来られたし」
とだけ書かれてあった。
「伊具さんが来るのか」
文言を読み終えた寸楽は一瞬だけ複雑そうな面持ちになると、すぐに手紙をさくらに手渡した。文面に目を通した3等陸尉が、
「店長。これしか書いてないんですか? これが機密なんですか?」
と気の抜けた声を上げている最中に、1等陸尉は同封されていた写真を親指と人差し指の間に挟み、目の高さにまで持ち上げてうめき声を上げる。
「機密はこっちか!」
滅多に聞けない上司の素っ頓狂な声に驚いたさくらは、猫のように素早く寸楽の後ろに回り込んで背伸びをした。1等陸尉の肩越しに見えたのは、全裸に赤いランドセルを背負い、困った顔をした香蘭の写真だった。
「な、何ですか、これは?」
「見れば分かるだろう? 香蘭の写真だ」
「どうして裸でランドセルを?」
「多分だが、十三君の趣味だろうね」
「あの昆虫男子、小児性愛者なんですか?」
「昆虫男子?」
「女に無視されるから、虫ですよ。あいつ、絶対に学校でモテないでしょ?」
さくらは白い歯をむき出しにして、会ったこともない少年をこき下ろした。
「君は年上好きだからねぇ」
渋面を作った寸楽は軽く頭を振って2枚目の写真に目線を移す。
次の写真に登場した香蘭の姿は、布地の面積が極端に少ないマイクロビキニを身にまとっていた。3枚目の写真の香蘭は、紐にしか思えないホルターネックの超ミニワンピース姿だった。
1等陸尉は無言で写真を裏返した。そこには、やはり達筆で「十三に頼まれて着ているのだが、おかしな所はないか?」と書かれてあった。
「おかしいも何も、これは児童ポルノじゃないですか! 犯罪ですよ、犯罪!」
両肩をいからせて憤るさくらを振り返った寸楽は、卓上に置いた携帯電話に手を伸ばし、親指で素早く操作をすると1枚の画像を選択した。液晶画面に表示されたのは、複数の男性に囲まれてご満悦の顔をしてつつ、両脚をM字に広げて女性器を曝している全裸の四須さくらだった。
「えーと、それは女子ムエタイチャンピオンになった時の記念に……」
自身の破廉恥画像を眼前に突きつけられた3等陸尉は、途端にしょげかえるともごもごと弁解を開始する。
「いいかい、さくら君。これは命令だ。香蘭が写っている写真は全部褒めるんだ。どんな格好をしていようとだ」
「でもですね……」
「先代の団英二氏も、天下に隠れなき小児性愛者だったが、彼は宮崎駿風というか、もうちょっと抑制のきいたおハイソなタイプだったんだけどね。でも十三君は君に近いみたいだね。年齢の問題さえ考えなければ、それほど相性の悪い相手には思えないんだが」
「同じ事をやってても、年齢が違いますよ! 私は19歳のやんちゃ盛りで……」
「僕にだって言いたいことは山ほどあるよ。でもね、我々は国防のために香蘭とは友好関係を築かねばならない。それ以前に、十三君は香蘭とこういう関係になっている方が幸せだということもある」
「え? 幸せ?」
「仮に彼が小児性愛者だとしてもだ。神が相手なら何ら問題はないだろう?」
「まさかと思うんですけど、こいつ、女の子に手を出したことがあるとか?」
「いや、子供に悪戯したことはないはずだよ。ただ、彼が中学生の時に、赤霧小学校にビデオカメラを持って無断で侵入した事がある。当日は運動会をやっていたんだが、彼の態度を怪しんだ教師が警察に通報して補導されている」
「ロリコンで盗撮マニアなんですか? だったら、韓国みたいにホルモン治療しないと……」
「君もホルモン治療されたいかね?」
1等陸尉が冷たい態度で部下をいなしていると、リビングに設置された無線式の呼び鈴が、ピンポーンと大きな電子音を立てた。寸楽は反射的に手紙と写真をかき集め、顎をしゃくってさくらに来訪者への対応を促した。
軽くうなずいた3等陸尉はリモコンを手にとって、テレビに接続されているセンサーカメラを操作した。机からやや離れた部屋の隅に置かれた大型の液晶画面に映ったのは、ふわっとした白いロングのワンピースに身を包んだ少女の姿だった。
大量のタックとレースで装飾されたワンピースはゴスロリ風で、細身の少女によく似合っていた。やや茶色に染めた長い髪は二つに分けられ、頭頂部には大きなリボンの着いたヘッドドレスカチューシャが装着されている。
香蘭が不自然なほどに美人だったのに比べると、ゴスロリ少女は愛嬌のある顔立ちで、むしろ「どこにでもいる可愛い子」の部類に入る。ややたれ目の大きな目がチャームポイントだ。
「め、メイドさん?」
田舎にしては突拍子もない格好をした来訪者に、さくらはリモコンを片手に小首を傾げ、シュレッターで手紙と写真を処理している上司の判断を待った。
「伊具さんだ。自衛隊員として応対を頼む」
寸楽はテレビ画面を一瞥しただけで、部下に奇妙な指示をくだす。
「は、はい。分かり……ました」
3等陸尉は得心のいかぬ表情のまま、リビングの扉を開けて玄関に赴いた。彼女が扉の鍵を開けると、先ほどカメラで確認した少女が、どういうわけか小さなラッパを持って立っている。
ゴスロリ少女はさくらの姿を見ると口にラッパをあて、近所迷惑も顧みずに点呼のメロディを淀みなく吹き鳴らした。聞き慣れた音声を耳にした3等陸尉は、玄関の前で反射的に姿勢を正す。
「伊具エミリに注目!」
ラッパを持った腕を下ろしたゴスロリ少女は、アイドル風の甘い声に似合わぬドスのきいた調子で自らの名を名乗り、下からさくらを睥睨した。ただならぬ気配を感じ取った3等陸尉は、直立不動の姿勢で口を真一文字に結ぶ。
「敬礼!」
一拍おいたエミリは右手を斜め上にあげ、ヘッドドレスカチューシャに指先をあてた。ゴスロリ少女の無駄のない動きに威圧されたさくらは、上半身を前方向に10度だけ傾けた。
「よろしい。まず、もう少ししたら香蘭から携帯にメールが届く手はずになっている」
「……え? あの、邪神の女の子からですか?」
「そうだよ」
「あの、神様なんですよね?」
「その通り」
「どうして、神様が携帯メールで私たちに連絡を?」
「そりゃあ、決まってるじゃないか。彼女も携帯を持ってるからだよ」
1等陸尉は「当然だろう」と言わんばかりの表情で、右手の人差し指で胸ポケットに収めた携帯をシャツの上から叩いてみせた。木目が印字された安っぽい合板の上で畏まっていたさくらはあんぐりと口を開け、語彙も論理構成能力も著しく不足している小さな脳を極限まで回転させた結果として生み出された質問を口にする。
「あのですね、神様とやりとりをするのに携帯メールって、ちょっと違うって言うか……」
「何が言いたいのかね、さくら君?」
「神様なんだから、何か特別な力を使って私たちとやりとりして欲しいじゃないですか」
「どうして?」
「どうしてって……神様だからですよ。携帯は変じゃないですか?」
「そうかな? ちょっと分からないんだが……」
寸楽が首を捻りながら部下の言い分を聞いていると、彼の胸ポケットに収まっていた携帯電話が、
「メールが届きました、メールが届きました」
と女性の声でメールの着信を告げた。1等陸尉は慌てて黒い折りたたみ式電話を取り出すと、それをさくらが正座しているテーブルの傍らに置く。
「さくら君! 早くそこを降りて!」
上司にどやされた3等陸尉は、訳も分からずテーブルから飛び降りた。彼女が両足をフローリングにつけるや否や携帯電話がひとりでに開き、液晶画面からほっそりとした白い手が飛び出してくる。
児童のような小さな手には1通の封書が握られていた。手はしばらく蠢いてから封書をテーブルの上にたたきつけると、再び液晶画面の中にすうっと姿を消した。
「香蘭からのメールだ。意外に返信が早かったな」
和紙でできた長形封筒を卓上から拾い上げた寸楽は、表面に筆文字で『寸楽嘉人宛』と書かれているのを確認した。両目と口を限界まで開けた女性自衛官は、テーブルの上に転がっている携帯電話を指さしながら、
「手! 手が出た!」
と喉を振り絞って絶叫する。
「静かにしたまえ、さくら君。ご近所迷惑な上に、ここを盗聴している連中にも気の毒だ。最近の盗聴器は性能が良いからね」
「な、何言ってるんですか! 今、携帯からちっちゃい手が……」
「だから、香蘭からのメールがきたんだよ」
「め、メールって?」
「日本語で手紙という意味だろう?」
「私が馬鹿だからってからかわないで下さい! mailは郵便物で、手紙はletterですよ!」
「君も意外と細かいねぇ」
「そんなことより、あの手は何なんですか! おかしいじゃないですか!」
「だから、香蘭の手紙だよ。携帯を通じて彼女が手で紙を届けてくれたんだ」
「……え?」
超常現象に対する上司の手短な解説に、さくらの顔を形成するすべての筋肉が硬直した。寸楽は太い指で封書の端を破りながら、淡々とした口調で部下を諭す。
「相手は神なんだ。これぐらいで驚いちゃいけないよ。神だって携帯は使う。ただ、我々よりも少しだけ使い方の自由度が高いんだよ」
「じゃあ、その香蘭って神様は、いつもこんな感じで手紙を送ってくるんですか?」
「いいや。防諜目的がある時だけだよ。この方法なら、携帯電話からデータを引っこ抜けないからね」
封筒を開いた1等陸尉はテーブルの側を離れてガラス窓に近寄ると、黒いカーテンを引いて赤霧市の夜景を遮った。ようやく冷静さを取り戻したさくらは、固唾をのんで上司の行動を注視する。
端を破った封筒から寸楽の指が引っ張り出してきたのは、1枚の和紙と数枚の写真だった。和紙には達者な文字で、
「用件は了解した。伊具を使いに出す。我が家まで来られたし」
とだけ書かれてあった。
「伊具さんが来るのか」
文言を読み終えた寸楽は一瞬だけ複雑そうな面持ちになると、すぐに手紙をさくらに手渡した。文面に目を通した3等陸尉が、
「店長。これしか書いてないんですか? これが機密なんですか?」
と気の抜けた声を上げている最中に、1等陸尉は同封されていた写真を親指と人差し指の間に挟み、目の高さにまで持ち上げてうめき声を上げる。
「機密はこっちか!」
滅多に聞けない上司の素っ頓狂な声に驚いたさくらは、猫のように素早く寸楽の後ろに回り込んで背伸びをした。1等陸尉の肩越しに見えたのは、全裸に赤いランドセルを背負い、困った顔をした香蘭の写真だった。
「な、何ですか、これは?」
「見れば分かるだろう? 香蘭の写真だ」
「どうして裸でランドセルを?」
「多分だが、十三君の趣味だろうね」
「あの昆虫男子、小児性愛者なんですか?」
「昆虫男子?」
「女に無視されるから、虫ですよ。あいつ、絶対に学校でモテないでしょ?」
さくらは白い歯をむき出しにして、会ったこともない少年をこき下ろした。
「君は年上好きだからねぇ」
渋面を作った寸楽は軽く頭を振って2枚目の写真に目線を移す。
次の写真に登場した香蘭の姿は、布地の面積が極端に少ないマイクロビキニを身にまとっていた。3枚目の写真の香蘭は、紐にしか思えないホルターネックの超ミニワンピース姿だった。
1等陸尉は無言で写真を裏返した。そこには、やはり達筆で「十三に頼まれて着ているのだが、おかしな所はないか?」と書かれてあった。
「おかしいも何も、これは児童ポルノじゃないですか! 犯罪ですよ、犯罪!」
両肩をいからせて憤るさくらを振り返った寸楽は、卓上に置いた携帯電話に手を伸ばし、親指で素早く操作をすると1枚の画像を選択した。液晶画面に表示されたのは、複数の男性に囲まれてご満悦の顔をしてつつ、両脚をM字に広げて女性器を曝している全裸の四須さくらだった。
「えーと、それは女子ムエタイチャンピオンになった時の記念に……」
自身の破廉恥画像を眼前に突きつけられた3等陸尉は、途端にしょげかえるともごもごと弁解を開始する。
「いいかい、さくら君。これは命令だ。香蘭が写っている写真は全部褒めるんだ。どんな格好をしていようとだ」
「でもですね……」
「先代の団英二氏も、天下に隠れなき小児性愛者だったが、彼は宮崎駿風というか、もうちょっと抑制のきいたおハイソなタイプだったんだけどね。でも十三君は君に近いみたいだね。年齢の問題さえ考えなければ、それほど相性の悪い相手には思えないんだが」
「同じ事をやってても、年齢が違いますよ! 私は19歳のやんちゃ盛りで……」
「僕にだって言いたいことは山ほどあるよ。でもね、我々は国防のために香蘭とは友好関係を築かねばならない。それ以前に、十三君は香蘭とこういう関係になっている方が幸せだということもある」
「え? 幸せ?」
「仮に彼が小児性愛者だとしてもだ。神が相手なら何ら問題はないだろう?」
「まさかと思うんですけど、こいつ、女の子に手を出したことがあるとか?」
「いや、子供に悪戯したことはないはずだよ。ただ、彼が中学生の時に、赤霧小学校にビデオカメラを持って無断で侵入した事がある。当日は運動会をやっていたんだが、彼の態度を怪しんだ教師が警察に通報して補導されている」
「ロリコンで盗撮マニアなんですか? だったら、韓国みたいにホルモン治療しないと……」
「君もホルモン治療されたいかね?」
1等陸尉が冷たい態度で部下をいなしていると、リビングに設置された無線式の呼び鈴が、ピンポーンと大きな電子音を立てた。寸楽は反射的に手紙と写真をかき集め、顎をしゃくってさくらに来訪者への対応を促した。
軽くうなずいた3等陸尉はリモコンを手にとって、テレビに接続されているセンサーカメラを操作した。机からやや離れた部屋の隅に置かれた大型の液晶画面に映ったのは、ふわっとした白いロングのワンピースに身を包んだ少女の姿だった。
大量のタックとレースで装飾されたワンピースはゴスロリ風で、細身の少女によく似合っていた。やや茶色に染めた長い髪は二つに分けられ、頭頂部には大きなリボンの着いたヘッドドレスカチューシャが装着されている。
香蘭が不自然なほどに美人だったのに比べると、ゴスロリ少女は愛嬌のある顔立ちで、むしろ「どこにでもいる可愛い子」の部類に入る。ややたれ目の大きな目がチャームポイントだ。
「め、メイドさん?」
田舎にしては突拍子もない格好をした来訪者に、さくらはリモコンを片手に小首を傾げ、シュレッターで手紙と写真を処理している上司の判断を待った。
「伊具さんだ。自衛隊員として応対を頼む」
寸楽はテレビ画面を一瞥しただけで、部下に奇妙な指示をくだす。
「は、はい。分かり……ました」
3等陸尉は得心のいかぬ表情のまま、リビングの扉を開けて玄関に赴いた。彼女が扉の鍵を開けると、先ほどカメラで確認した少女が、どういうわけか小さなラッパを持って立っている。
ゴスロリ少女はさくらの姿を見ると口にラッパをあて、近所迷惑も顧みずに点呼のメロディを淀みなく吹き鳴らした。聞き慣れた音声を耳にした3等陸尉は、玄関の前で反射的に姿勢を正す。
「伊具エミリに注目!」
ラッパを持った腕を下ろしたゴスロリ少女は、アイドル風の甘い声に似合わぬドスのきいた調子で自らの名を名乗り、下からさくらを睥睨した。ただならぬ気配を感じ取った3等陸尉は、直立不動の姿勢で口を真一文字に結ぶ。
「敬礼!」
一拍おいたエミリは右手を斜め上にあげ、ヘッドドレスカチューシャに指先をあてた。ゴスロリ少女の無駄のない動きに威圧されたさくらは、上半身を前方向に10度だけ傾けた。
18件のコメント
[C3953]
- 2010-07-05
- 編集
[C3954] そーだ、忘れてた。
聞くの忘れてたんスけど、「寸楽」って「すんらく」って読むの?
ちょっとだけ自由度が高いのにはスキ突かれました。えーえー、おもっくそ。完全にハメられた感でとっってもくやしーですっ!
あと、白かったら白ロリだと思います。
>3953
近いというか、裏表ですね。
年上←→年下
見られたい←→見たい
でもってタガが外れてる(つか多分最初からない)のはどっちも一緒。
ちょっとだけ自由度が高いのにはスキ突かれました。えーえー、おもっくそ。完全にハメられた感でとっってもくやしーですっ!
あと、白かったら白ロリだと思います。
>3953
近いというか、裏表ですね。
年上←→年下
見られたい←→見たい
でもってタガが外れてる(つか多分最初からない)のはどっちも一緒。
- 2010-07-05
- 編集
[C3955]
わははw
そうですよね、邪神と付き合える人間が、まともであるワケがない。私のかいてる外典に出てくるキャラたちも壊れてますが、これには負けましたwww
あと、伊具さんつーのは、男だとばっかり思ってたんですが、まさか?!
そうですよね、邪神と付き合える人間が、まともであるワケがない。私のかいてる外典に出てくるキャラたちも壊れてますが、これには負けましたwww
あと、伊具さんつーのは、男だとばっかり思ってたんですが、まさか?!
- 2010-07-05
- 編集
[C3956] you got a mail
あは、あはは。何から突っ込んだらいいのかわかりませんえん。これで秘書の安田さん(by新谷かおる)が出てきたら最高ですが。
ああ、ラノベで一発当ててほしいと思ってたのが、今ラノベ界大変みたいですねえ。
ああ、ラノベで一発当ててほしいと思ってたのが、今ラノベ界大変みたいですねえ。
- 2010-07-05
- 編集
[C3960] 電気屋さん
寸楽の正しい読み方は「すんがく」です。カタカナにしてググルと面白いことが起こります。
ちなみに、甘ロリか白ロリにしようと迷った結果、ゴスロリにすることになりました。上位概念にした方が、別のロリータファッションも着せられるからです。
ちなみに、甘ロリか白ロリにしようと迷った結果、ゴスロリにすることになりました。上位概念にした方が、別のロリータファッションも着せられるからです。
- 2010-07-06
- 編集
[C3962] Anchangさん
安田妙子ですね!
ラノベの盗作問題は、そろそろ限界水域を突破するんじゃないかと思ってます。電気屋さんと話していたSF問題と根は一緒です。
ラノベの盗作問題は、そろそろ限界水域を突破するんじゃないかと思ってます。電気屋さんと話していたSF問題と根は一緒です。
- 2010-07-06
- 編集
[C3999] あれ?
>ハッキリ言って、中が動かないなら男でも良いんですよ。男でも!
ココは「中さえ動けば」ですよね?
やつがれは体験ないのでワカりませんが、後ろはやっぱ動きませんか?
ココは「中さえ動けば」ですよね?
やつがれは体験ないのでワカりませんが、後ろはやっぱ動きませんか?
- 2010-07-18
- 編集
[C4004] 電気屋さん
女性器の場合、膣の主要な筋肉は球海綿体筋、肛門は外肛門括約筋+内肛門括約筋です。どちらも入り口部分に強い筋肉がある仕組みになっていますが、膣の場合は入り口から3分の1ほどの長さが筋肉がある部位で、肛門官は長さが約4cmです。なので、どちらも入り口を抜けて奥にはいると締め付けの感覚は弱くなります。が、膣の場合は一番奥に子宮膣部があるので、男性器の亀頭は(ペニスが長ければ)ここにぶつかることになります。で、どっちの方が締め付けが強力かと言われると、これは筋肉量が多い膣だと思います。後はオーガズムに達するまでの動きが全然違いますよね。
- 2010-07-19
- 編集
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でも昆虫系男子って去年にはもうできてた単語なんですね・・・
十三とさくらが近い性向というのはなんとなくわかるような、わからないような。