王様を欲しがったカエル
作家・シナリオライター・編集者を兼任する鳥山仁の備忘録です。
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本日はゲーム制作中にたまっていた雑務の整理と実写系雑誌のレイアウト、それに撮影の準備にかかる。ここ数ヶ月はオタク系の作業に没頭していたから、ホコリがたまっていた道具類のメンテナンスをせねばならない。特に、衛生上の問題で緊縛に使用する麻縄を塩水で煮沸消毒するのに時間をくう。
緊縛の際に、どんな道具類を使うかは個々の緊縛師によって違っている。故・長田英吉氏の綿ロープ、故・明智伝鬼氏の4ミリ系の麻縄なんかはその代表格だろう。で、この麻縄に関しては煮沸処理をするかしないかで更に分派があって、濡木痴夢男氏やダーティ工藤氏は買ってきたままの麻縄を使うことで有名。私の場合は、師匠は綿ロープだったのに、試行錯誤した結果として6ミリ系か10ミリ系の煮沸した麻縄に落ち着いた。
一般的(というのかな?)に女性を縛った際に美しいと考えられている麻縄の直径は4ミリ程度で、かつ緊縛をする際には細い縄の方が軽いので使いやすいのに、あえてゲージの太いものを使っている理由は、安全性を考慮したのと元は綿ロープで縛っていたのが原因だろう。細い縄は肌と縄の接地圧が高いので、縛った相手の神経を切断する事故を起こす危険があるから、仮に相手を素早く縛れたとしても使いたいとは思わない。ぶっちゃけ、緊縛ショーでもやらない限り、素早く縛る必要性なんかないし、そもそも私には演台に立って注目を浴びたいという欲求がない。この辺は性格の違いが出るね。
さて、話はがらりと変わって参院選の2回目。今回は比例区の説明です。日本の参院選は全国比例代表制を選挙方法として採用しています。これは、全国を1つの選挙区として政党名(後述するけど、日本の場合は個人名でもOK)で投票を行い、獲得した票数によって議席を分配する、というもので、1980年から採用されています。
この方法のメリットは「一票の格差が出にくい」というもの。「一票の格差」というのは、Aという選挙区における投票権を持つ人達の総数を選出可能な議員数で割った数値と、Bという選挙区で投票権を持つ人達の総数を選出可能な議員数で割った数値が大きく異なる状態を指します。
たとえば、Aという選挙区では投票権を持つ人達(有権者)の総数が10万人で、選べる議員の数が1人としましょう。これに対して、Bという選挙区では有権者の総数が100万人で、選べる議員の数が2人としましょう。
すると、有権者÷議員の数は、
A:10万÷1=10万
B:100万÷2=50万
となり、1人の議員を選出するのに、選挙区Aでは有権者が10万人しか必要ないのに、選挙区Bでは50万人も必要ってことになります。つまり、選挙区Aの1票は、選挙区Bの5票に匹敵するって事です。これが「一票の格差」で、選挙の公平性(平等)に著しく反するので、しばしば有権者から国が訴えられるという事態を招きます。実際に、日本では地方の選挙区と都市部の選挙区でこれぐらいの格差が生じているんですね。
ところが、選挙区を全国としてしまえば1票の格差は関係なくなります。これで平等性が確保されみんな万々歳………と行かないところが世の中の辛いところ。実は全国区で行われる選挙というのは、選挙の「多数決で議員を決める」という大原則を破壊してしまうんです。
たとえば、さっきのAという10万人の有権者がいる選挙区で1人の議員を選ぶとしましょう。投票率が50%であれば、投票数は5万人。候補者が絶対に当選するためには、この5万人の50%以上、つまり2万5千票の投票数を集めなければなりません。実際には候補者は2人以上いるケースが圧倒的なので、まあ、3割から4割当たりが当選ラインということになります。
ところが、全国区では同じ割合が当選者に求められることはまずありません。たとえば、日本の全国区での有権者数が5千万人だとしましょう。このうちの50%が投票に来るとしたら、投票数は2千5百万票になります。この4割が当選ラインだとしたら、1千万票。1人の候補者が、1回の選挙で、これだけの票を集めるのはまず無理です。
そもそも、日本では全国区の当選者数は1人ではなく100人前後になります。今回の参議院選、正確には第21回参議院議員通常選挙で全国比例区の当選者数は48人。これは、第1回で説明したように、参議院の選挙が半数ずつ行われるからです。で、ここからが凄いんですけど、大政党に所属している候補者の当確ラインは15万票から20万票って言われています。まあ、仮に多めに見積もって当確ラインを20万票とすると、当選に必要な割合というのは、
20万票÷2千5百万票=0.008%
で、約0.1%ってことになるんです。まあ、これはあくまでも説明を簡易にするために出している数字なので、ぜんぜん正確じゃないんですけど、通常の選挙区で必要な割合である30%~40%に較べると、0.1%がいかに低いかは見ただけで分かりますよね。何度も説明に出している10万人の有権者がいるAという選挙区に当てはめると、投票率が50%だとして、50人前後の得票数で当選してしまうって事になります。
(続く)
緊縛の際に、どんな道具類を使うかは個々の緊縛師によって違っている。故・長田英吉氏の綿ロープ、故・明智伝鬼氏の4ミリ系の麻縄なんかはその代表格だろう。で、この麻縄に関しては煮沸処理をするかしないかで更に分派があって、濡木痴夢男氏やダーティ工藤氏は買ってきたままの麻縄を使うことで有名。私の場合は、師匠は綿ロープだったのに、試行錯誤した結果として6ミリ系か10ミリ系の煮沸した麻縄に落ち着いた。
一般的(というのかな?)に女性を縛った際に美しいと考えられている麻縄の直径は4ミリ程度で、かつ緊縛をする際には細い縄の方が軽いので使いやすいのに、あえてゲージの太いものを使っている理由は、安全性を考慮したのと元は綿ロープで縛っていたのが原因だろう。細い縄は肌と縄の接地圧が高いので、縛った相手の神経を切断する事故を起こす危険があるから、仮に相手を素早く縛れたとしても使いたいとは思わない。ぶっちゃけ、緊縛ショーでもやらない限り、素早く縛る必要性なんかないし、そもそも私には演台に立って注目を浴びたいという欲求がない。この辺は性格の違いが出るね。
さて、話はがらりと変わって参院選の2回目。今回は比例区の説明です。日本の参院選は全国比例代表制を選挙方法として採用しています。これは、全国を1つの選挙区として政党名(後述するけど、日本の場合は個人名でもOK)で投票を行い、獲得した票数によって議席を分配する、というもので、1980年から採用されています。
この方法のメリットは「一票の格差が出にくい」というもの。「一票の格差」というのは、Aという選挙区における投票権を持つ人達の総数を選出可能な議員数で割った数値と、Bという選挙区で投票権を持つ人達の総数を選出可能な議員数で割った数値が大きく異なる状態を指します。
たとえば、Aという選挙区では投票権を持つ人達(有権者)の総数が10万人で、選べる議員の数が1人としましょう。これに対して、Bという選挙区では有権者の総数が100万人で、選べる議員の数が2人としましょう。
すると、有権者÷議員の数は、
A:10万÷1=10万
B:100万÷2=50万
となり、1人の議員を選出するのに、選挙区Aでは有権者が10万人しか必要ないのに、選挙区Bでは50万人も必要ってことになります。つまり、選挙区Aの1票は、選挙区Bの5票に匹敵するって事です。これが「一票の格差」で、選挙の公平性(平等)に著しく反するので、しばしば有権者から国が訴えられるという事態を招きます。実際に、日本では地方の選挙区と都市部の選挙区でこれぐらいの格差が生じているんですね。
ところが、選挙区を全国としてしまえば1票の格差は関係なくなります。これで平等性が確保されみんな万々歳………と行かないところが世の中の辛いところ。実は全国区で行われる選挙というのは、選挙の「多数決で議員を決める」という大原則を破壊してしまうんです。
たとえば、さっきのAという10万人の有権者がいる選挙区で1人の議員を選ぶとしましょう。投票率が50%であれば、投票数は5万人。候補者が絶対に当選するためには、この5万人の50%以上、つまり2万5千票の投票数を集めなければなりません。実際には候補者は2人以上いるケースが圧倒的なので、まあ、3割から4割当たりが当選ラインということになります。
ところが、全国区では同じ割合が当選者に求められることはまずありません。たとえば、日本の全国区での有権者数が5千万人だとしましょう。このうちの50%が投票に来るとしたら、投票数は2千5百万票になります。この4割が当選ラインだとしたら、1千万票。1人の候補者が、1回の選挙で、これだけの票を集めるのはまず無理です。
そもそも、日本では全国区の当選者数は1人ではなく100人前後になります。今回の参議院選、正確には第21回参議院議員通常選挙で全国比例区の当選者数は48人。これは、第1回で説明したように、参議院の選挙が半数ずつ行われるからです。で、ここからが凄いんですけど、大政党に所属している候補者の当確ラインは15万票から20万票って言われています。まあ、仮に多めに見積もって当確ラインを20万票とすると、当選に必要な割合というのは、
20万票÷2千5百万票=0.008%
で、約0.1%ってことになるんです。まあ、これはあくまでも説明を簡易にするために出している数字なので、ぜんぜん正確じゃないんですけど、通常の選挙区で必要な割合である30%~40%に較べると、0.1%がいかに低いかは見ただけで分かりますよね。何度も説明に出している10万人の有権者がいるAという選挙区に当てはめると、投票率が50%だとして、50人前後の得票数で当選してしまうって事になります。
(続く)
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