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参院選(4)&突撃アポ

 今回も備忘録はお休みで前回の続きです。

 前回は、比例代表制が政党上層部の独裁制を招きやすいというところまで説明しました。この、上層部の独裁をより強くするのが厳正拘束名簿式というシステム。これも、前回説明したように、比例代表制というのは候補者ではなくて政党(抽象概念)を選ぶことを原則とする選挙制度です。じゃあ、どうやって当選者(具体的な個人)が選出されるのかといえば、これが政党が提出する名簿なんですね。この名簿には当選する順位があらかじめ書かれていて、有権者はこの名簿を見てどの政党に投票するのかを決めるわけです。

 じゃあ、この名簿の順番はどうやって決まるのかと言えば、もうお分かりの通り、これも政党の上層部や党内の実力者が決めていくわけです。こうなると、有権者に人気のある候補者であっても、名簿の順位が低いと落選してしまう可能性が出てきます。つまり、候補者は常に党上層部の顔色をうかがわなくてはなりません。そして、この方式もやはりワイマール共和国時代のドイツで用いられていました。にもかかわらず、日本の参院選では1983年から1998年までの期間、この方式を採用していたんです。

 幸いなことに、現在では政党上層部の独裁を後押しする厳正拘束名簿方式は廃止され、非拘束名簿式が採用されています。この方法は、有権者が投票する際に、政党名か立候補者の名前を書くことができるというもので、立候補者の名前で書かれた投票数が多い順に当選が決まっていくという方法。まあ、比例代表制という制度そのものが、どうにも駄目な代物なので、五十歩百歩というのが真相ですが、それでも厳正拘束名簿式に較べれば、はるかにマシになりました。

 余談になりますが、非拘束名簿式が参院選で採用されたのは、久世公堯元参議院議員が党費を大手マンション会社に肩代わりしてもらい、その見返りとして名簿の当選順位を上げてもらっていたという疑惑が浮上したのがきっかけでした。つまり、厳正名簿拘束式を前提とした選挙では、名簿の当選順位を上げるために党内での実質的な買収行為も起こりうるということです。が、当時の野党はこの改正案を拒否し続けました。表現規制問題を考える上で、こうした経緯も心にとどめておくべきでしょう。

 以上をもって、私はこのブログを読んでいる皆さんには、たとえ比例代表選であっても個人名での投票をお薦めします。

 特に、表現規制反対運動に何らかの形で関与している人達は、有力な政党のほとんどが、基本政策として表現の自由を掲げていない事実を留意して下さい。

 それでは、一体誰に投票すべきなのか?

 政党の名前や政策で選ばずに、個人個人の立候補者を見て決めるというのは、実は非常に面倒くさい行為です。参議院比例代表選挙に立候補している人達の主張を読んでいくだけでも、一体どれぐらいの時間がかかるか見当もつきません。現実に、これまでの参院選比例代表では、2:1ぐらいの割合で政党名を書いて投票するケースが多く、有権者のかなりの割合が「候補者の個々の主張を見るのが面倒くさいから、とりあえず政党名で投票しておこう」と考えている実情が浮かび上がってきます。

 唯一の例外が公明党(個人名投票が7割を超える)ですが、これは背景に創価学会という宗教団体が存在しているのが原因でしょう。特定の宗教団体が誘導する組織票の方が、国民の権利をより行使しているというのは洒落になっていません。しかも、創価学会は性表現については規正派に近いポジションというオマケつきで、とても同調できる相手ではありません。

 本来であれば、表現規制反対派が個々の候補者に質問要旨を送付して、「表現規正に賛成するか? あるいは反対するか?」を問いただすべきでしょう。けれども、こうした質問趣意書は大手のTV局やマスコミが重複して行っており、世論に強く訴えかける手段のない弱小団体への回答は無視されるか後回しにされるかが常道です。

 じゃあ、一体どうすれば、立候補者が表現規制に反対してくれるかどうかが分かるのか?

 私はあまり考えずに、立候補者本人に会って、直接言質をとることにしました。その理由は、今年の4月に行われた東京都知事選です。

 都知事選では、青少年条例を強化することを容認した、石原都知事の3選を阻止できるかどうかが表現規制反対派内部における焦点でした。その最有力候補として挙げられていたのが、元宮城県知事の浅野史郎候補でした。しかし、淺野候補は宮城県知事時代に、ゲーム規制を肯定する発言をしている人物でした。つまり、仮に淺野候補が都知事に当選しても、法的にゲーム規制が進む危険性がありました。

 にもかかわらず、一部の規制反対派は淺野候補支持に回りました。石原都知事の3選を防ぐためには、やむを得ない選択だったという説明がありました。

 ところが、この淺野候補支持に回った表現規制反対派の人達は、誰一人として候補者から「ゲーム規制は行わない」という言質をとっていませんでした。それどころか、淺野氏が落選後に「ゲーム規制をすべき」という趣旨の発言をすると、候補を支持していた時から、こうした発言をすることは想定していたと放言したんです。

 私には、未だに彼らが何をしたかったのかが理解できません。淺野候補は選挙中に、かなり頻繁に演説を行ったり、小さな集会にも顔を出しています。当然、規制反対派のメンバーとも顔を合わせています。その時に、「淺野さんは、ゲーム規制に反対しますか?」と尋ねておけば良かったんです。1分もかからずにできることですよ。何で、こんな簡単なことが誰にもできなかったのか? 私は淺野候補が真っ黒だと思っていたのでやりませんでしたが、仮に淺野候補が表現規制に反対してくれる可能性があると信じていたら、集会に出て行って本人に直接問いただしてますよ。

 そう言う次第で、私はやはりあんまり考えずに、以前から表現規制に反対してくれそうな候補者だと思っていた、樽井良和氏の選挙事務所にアポイントを取って、直接ご本人の口から言質をいただいてきました。

 私が樽井氏をチョイスしたのは、

1)衆議院議員時代から、表現規制に反対してくれていることを知っていたから。
2)現在でも『ファミ通』に連載をもっており、ゲーム業界の事情に精通しているから。
3)表現規制反対運動において、選挙情報を流している『選挙に行こう』の管理人であるsen7743氏が樽井氏を推薦していたから。

という理由がありました。

 で、選挙事務所にお邪魔して、1分で言質をいただきました。ゲームもアニメもマンガも、全てのメディアに関して、表現の自由を可能な限り尊重して下さるそうです。

 ね。簡単でしょ?
 以上の経緯から、現段階で私も樽井良和氏を推します。ただ、時間のある方には、可能性のありそうな候補者に、「表現規制に反対してくれますか?」という質問をすることをお薦めします。繰り返しになりますが、簡単ですから。

1件のコメント

[C2] 消費税増税 - 税率 10%, 16%, 18% or 30%?

[消費税増税 - 税率 10%, 16%, 18% or 30%?]
’07参院選:全候補者アンケート 消費税、自民「引き上げ論」74%-政党:MSN毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070714ddm003010048000c.html

財界や政府・自民党から消費税増税・法人税減税大合唱
http://www.toshoren.jp/Ctg-Toshoren_Undo_News/news2007_06/news2007_06-02.htm
米国からの便り 消費税が16%?
http://kensirou2001.blog79.fc2.com/blog-entry-67.html
八国山だより 消費税を16%に
http://patience052.blog101.fc2.com/blog-entry-4.html

日本経団連意見書:「近い将来の税制改革」についての意見 消費税率引上げの展望
「消費税率を、第一段階として3%程度は引き上げるべき」
「消費税率を遅くとも2007年度までには10%とすべきである。」
「消費税で賄おうとすれば30%以上の税率」
「2025年度までの消費税率の増加を18%程度までに」

棄権は危険!そのわけは??
http://senkyo2.seesaa.net/
  • 2007-07-26
  • 投稿者 : No More Tax
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toriyamazine

Author:toriyamazine
東京都出身。
高校在学中にライターとしてデビュー。
以降は編集者・ライター・ゲームディレクター・実写アダルトDVDの監督、そして作家を兼任。
仕事はSMポルノ関係全般で、小説、ゲーム、実写etc、アニメーションを除くすべてのポルノ作品を平行して制作。年間発表数は約6作品前後がコンスタント。
一般作に関しては、別名義、もしくはアンカーマンとしてのみ参加中。

追記・最近になってメールで連絡が取れないという非難が多く聞かれるようになったので、仕事用のアドレスを公開しておきます。
jjnewzine★gmail.com
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