王様を欲しがったカエル
作家・シナリオライター・編集者を兼任する鳥山仁の備忘録です。
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本日は9月のスケジュール調整。カメラマン・モデルプロダクション・他の出演者などと電話で連絡を取り合う。しかし、実写系雑誌のために最低でも撮影を5回以上しなければならない現実を目の当たりにすると、さすがにぐったりくるな。撮影前の準備も含めると、最低でも15日間は拘束される勘定になるのに、平行して2冊分の雑誌の文章を書き上げなければならない。どう考えても、休みが取れる状況じゃないよ。というか、死ぬ。
仕事以外で最近気になることは2つ。1つは格差社会問題に言及したネット上の言説なんだけど、これは次回にチャンスがあれば書いてみるつもり。もう1つは仕事と間接的に関係のある『らき☆すた』について。
この作品に関して、私は特に興味を持っていなかったのだが、何かの拍子で話題になった際に、「あの作品のどこが面白いのか?」とサブディレクターに質問をしたところ、「あの作品は詰まらない。でも、理想のオタクライフを上手く表現しているので、そういうものに憧れている人達から支持されている」と説明を受けて驚嘆。彼の言説によると、オタクの中には自分の趣味を話せる相手がおらず、独りで悶々としている者が少なからずおり、彼らが『らき☆すた』を観ながら「僕もこんな風に、和気藹々とした時間を過ごしたいなぁ」と思っているのだそうだ………などと知った風に書いているが、私の実感は0%。あまりにも不思議だったので、他の人間にも同様の質問をしたところ、皆同じ答えが返ってきて困惑。
漫画とかアニメとかゲームとか、とにかく世間一般の価値基準では「価値がない」とか「価値が低い」とか「ワケが分からない。薄気味悪い」と判断されるジャンルへの愛情が高じて『オタク』になるところまでは私にも理解できる。私自身もそうだからだ。
しかし、『オタク』になってからは、自身の趣味の研究に没頭したり、創作活動に邁進することによって、そもそも孤独かどうかは重要ではなくなるし、また同じ趣味の人間と自分たちにしか通じない趣味の話に花を咲かせるのは当然のハズ。これができないのは、一体どういうことか?
私の疑問に対して答えてくれた複数の人間の説明によると、孤独に苛まれるオタクというのは、以下のようなプロフィールを持っているケースが多いのだという。
1)幼少期から友人や学校や家族になじめずに、漫画、TVに逃避。
↓
2)成長するに従って、更に社会性を喪失。漫画やTV以外の話題ができなくなる。
↓
3)にもかかわらず、思春期以降になると、色恋沙汰とか就職とか、あるいは社会常識やらと対峙せざるを得なくなり、漫画なりアニメなりの趣味を、親や友人から馬鹿にされたり批判される状況をたびたび体験するようになる。
↓
4)こうした揶揄や侮蔑に対して反動形成を抱くものの、世間なり親なりを論破する方法がないので、「漫画は文化として認められているんだ!」と叫んでみたり、「漫画の経済効果は高いんだ!」と叫んでみたり、「オタク趣味を通じて世間に革命を起こすんだ!」と気勢を上げてみたり、「漫画はポストモダンで解析できる!」とアカデミックな方向に走ってみたりと、色々とあがいてみるのだが、元々アニメや漫画しか知らないので思索が深まるわけもなく、そのほとんどが半可通で終了。周囲との摩擦は解消できず、事態が余計に悪化する。
↓
5)気がつくと時間だけが経過して、人並みの幸せを手に入れるチャンスも後逸。あるのは世間からは無価値と判断された情報ばかりで、「俺は一体何をやっていたんだ………」と現実に打ちのめされながら途方に暮れる。
こういう経験を通して、『らき☆すた』の真価が理解できるようになる………と言われても、その状況があまりにもナニなので、私の脳が理解を放棄。というか、そもそも世間と折り合いをつけたり、世間を見返そうと思うならオタク趣味を止めればいいのにと思うのだが、「ずっと漫画やアニメしか観ていない人間に、いきなり趣味を止めろと言っても無理。他の情報なんてろくに持ってないということを理解しているのか?」と反論される。
そうなのか? 人間はそんなに可能性がない生き物なのか? それとも、オタクだけが可能性を著しく狭められている(あるいは自分から狭めてしまっている)のか?
色々と悩んでみるのだが、自分がこのタイプじゃないので回答は出ず。それどころか、この手の質問をするたびに回答者から口を揃えて「あんたには分からないだろうけど………」とエクスキューズされて撃沈。
とどめにサブディレクターから、「ここを読んでおけ」と原野商法1997というブログを紹介されるも、読めば読むほど困惑は増すばかり。あぁ、『らき☆すた』がこんなに難しいとは………。
仕事以外で最近気になることは2つ。1つは格差社会問題に言及したネット上の言説なんだけど、これは次回にチャンスがあれば書いてみるつもり。もう1つは仕事と間接的に関係のある『らき☆すた』について。
この作品に関して、私は特に興味を持っていなかったのだが、何かの拍子で話題になった際に、「あの作品のどこが面白いのか?」とサブディレクターに質問をしたところ、「あの作品は詰まらない。でも、理想のオタクライフを上手く表現しているので、そういうものに憧れている人達から支持されている」と説明を受けて驚嘆。彼の言説によると、オタクの中には自分の趣味を話せる相手がおらず、独りで悶々としている者が少なからずおり、彼らが『らき☆すた』を観ながら「僕もこんな風に、和気藹々とした時間を過ごしたいなぁ」と思っているのだそうだ………などと知った風に書いているが、私の実感は0%。あまりにも不思議だったので、他の人間にも同様の質問をしたところ、皆同じ答えが返ってきて困惑。
漫画とかアニメとかゲームとか、とにかく世間一般の価値基準では「価値がない」とか「価値が低い」とか「ワケが分からない。薄気味悪い」と判断されるジャンルへの愛情が高じて『オタク』になるところまでは私にも理解できる。私自身もそうだからだ。
しかし、『オタク』になってからは、自身の趣味の研究に没頭したり、創作活動に邁進することによって、そもそも孤独かどうかは重要ではなくなるし、また同じ趣味の人間と自分たちにしか通じない趣味の話に花を咲かせるのは当然のハズ。これができないのは、一体どういうことか?
私の疑問に対して答えてくれた複数の人間の説明によると、孤独に苛まれるオタクというのは、以下のようなプロフィールを持っているケースが多いのだという。
1)幼少期から友人や学校や家族になじめずに、漫画、TVに逃避。
↓
2)成長するに従って、更に社会性を喪失。漫画やTV以外の話題ができなくなる。
↓
3)にもかかわらず、思春期以降になると、色恋沙汰とか就職とか、あるいは社会常識やらと対峙せざるを得なくなり、漫画なりアニメなりの趣味を、親や友人から馬鹿にされたり批判される状況をたびたび体験するようになる。
↓
4)こうした揶揄や侮蔑に対して反動形成を抱くものの、世間なり親なりを論破する方法がないので、「漫画は文化として認められているんだ!」と叫んでみたり、「漫画の経済効果は高いんだ!」と叫んでみたり、「オタク趣味を通じて世間に革命を起こすんだ!」と気勢を上げてみたり、「漫画はポストモダンで解析できる!」とアカデミックな方向に走ってみたりと、色々とあがいてみるのだが、元々アニメや漫画しか知らないので思索が深まるわけもなく、そのほとんどが半可通で終了。周囲との摩擦は解消できず、事態が余計に悪化する。
↓
5)気がつくと時間だけが経過して、人並みの幸せを手に入れるチャンスも後逸。あるのは世間からは無価値と判断された情報ばかりで、「俺は一体何をやっていたんだ………」と現実に打ちのめされながら途方に暮れる。
こういう経験を通して、『らき☆すた』の真価が理解できるようになる………と言われても、その状況があまりにもナニなので、私の脳が理解を放棄。というか、そもそも世間と折り合いをつけたり、世間を見返そうと思うならオタク趣味を止めればいいのにと思うのだが、「ずっと漫画やアニメしか観ていない人間に、いきなり趣味を止めろと言っても無理。他の情報なんてろくに持ってないということを理解しているのか?」と反論される。
そうなのか? 人間はそんなに可能性がない生き物なのか? それとも、オタクだけが可能性を著しく狭められている(あるいは自分から狭めてしまっている)のか?
色々と悩んでみるのだが、自分がこのタイプじゃないので回答は出ず。それどころか、この手の質問をするたびに回答者から口を揃えて「あんたには分からないだろうけど………」とエクスキューズされて撃沈。
とどめにサブディレクターから、「ここを読んでおけ」と原野商法1997というブログを紹介されるも、読めば読むほど困惑は増すばかり。あぁ、『らき☆すた』がこんなに難しいとは………。
2件のコメント
[C19]
~~さん
ははは。私と同じことを考えてますね。
私もそう思ったんですよ。ただ、そうなるとノスタルジーを喚起させるとという意味で『げんしけん』etcと同じカテゴリーに入る作品が、何で美少女を前面に押し出すのかって話になるわけです。この辺から、もう私には分かりません。
おっしゃるように、この2つはつなげる必要がないんですね。
ははは。私と同じことを考えてますね。
私もそう思ったんですよ。ただ、そうなるとノスタルジーを喚起させるとという意味で『げんしけん』etcと同じカテゴリーに入る作品が、何で美少女を前面に押し出すのかって話になるわけです。この辺から、もう私には分かりません。
おっしゃるように、この2つはつなげる必要がないんですね。
- 2007-09-01
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