王様を欲しがったカエル

　現在制作中の緊縛教則ムックの構成でストレスが溜まりまくり。人にものを教えるなんて大嫌いで、対他関係の理想は「言わなくても分かる」の私が、教則本の編集をすることそのものが大間違いなのだ。教師とか講師とかが勤まる人と、私のメンタリティは水と油である。未来永劫、理解し合うことはないだろう。

　教則本の編集は過酷だ。まるで描いた絵を裏返し、歪みがないかどうかを確かめる漫画家の如く、本の仮構成を行って記述抜けの有無をシミュレーションせねばならない。つまり、私の本を買って、これを読みながら実践する読者が、どんなミスをするかを事前に予測して、これを防ぐための注意書きをつけなければならない。具体的な作業としては、冬眠前の熊よろしく部屋を行ったり来たりしながら、「ここで失敗するか？」などと呟いてはノートにメモをとり、実際に未経験者を呼んで、私が思いついたことを実行してもらうわけだ。

　すると、こちらのシミュレーションより遥か手前で順番を間違えたりするから、更に別のパターンを考案して、これに対処せねばならない。この作業を延々と繰り返して一冊の本を仕上げていく。

　これが「分かった気にさせる」だけなら簡単だ。脳内の妄想であれば、分かろうが分かるまいが、読み手が「分かった気持ち」になるだけでいいんだから何とでもなる。短い警句や横文字を並べて煙に巻いてしまえばいい。だが、実践が伴った場合、読者は自分が理解できたかどうかを客観的に判断できてしまう。誤魔化しは通用しない。

誤魔化しは通用しないで思い出したが、継続して書いている『赤いナポレオン』の論理的な妥当性を検証するために、『満州産業開発５か年計画』と『ヒンデンブルグ計画』で検索をかけて、他の人達の評価も見ていこうと思ったら、

１）満州産業開発５か年計画の実質検索件数は５件（このブログを含む）。
２）漢数字の方が良いのかと思って、満州産業開発五カ年計画で検索をかけたら、実質検索数は１２件。
３）満州産業開発５カ年計画では１０件。
４）ヒンデンブルグ計画とヒンデンブルク計画の合計検索件数は５件（このブログを含む）
３）ヒンデンブルグ計画の英語読みである、Hindenburg Programで実質検索件数が１４１件。

という結果が出て倒れそうになった。何じゃ、この少なさは。インターネットは、お互いの知識を持ち寄って、新しい発想が生まれる素晴らしい仕組みじゃなかったのか？　そもそも、必要な知識自体がないのは、一体どういうこった？

　この件を知人に愚痴ると、「ネットにそんな情報が転がってるわけないじゃん。満州関係の情報が欲しいなら、神保町の東陽堂にでも行くしかないよん」と鼻であしらわれてがっくり。やっぱり、こっちも誤魔化しはききませんか………。