王様を欲しがったカエル

　本日も雑務に従事。コラムの推敲、キャプション書き、画像の収集、新規撮影の準備……と平行して、東京都が同人誌即売会に干渉した一件の情報収集。複数のイベント関係者と電話でお話をする。

　この件が広まったのは１０月中旬。上海アリス幻楽団が製作する人気同人ＳＴＧ（シューティングゲームの略語です）、『東方Project』のオンリー同人誌即売会（要するに、原則として東方Projectをネタにした同人誌しか売らないイベントって事ですな）、『東方不敗小町』の主催者（通称は準備会といいます）が、会場として予定していた東京都立産業貿易センター側（東京都中小企業振興公社が運営）から、成人向け作品の頒布を禁止する旨の通達を受けたという書き込みを、１０月１６日に行ったのが発端で、同人誌に興味のある人達の間で一気に広まった。

　ただ、通達自体は１０月初旬にあったうようで、他のイベント主催者にも同様の電話による公社からの注意というか説明があり、その内容というのは「条例を尊守したイベント開催をお願いしたい」、「会場側も販売されている同人誌をチェックしたい」というもの。前者に関しては、会場を借り受ける際に署名していることだし、イベント主催者がわざわざ条例違反をするとは思えないので、公社側の態度に不信感が広がる。

　不信感が拡大したのは、会場側の態度にも一因がある。「何が駄目なのか」が書面で公開されず、電話での対応も二転三転。そもそも、担当者が同人誌とは何かということも把握していないという事実が判明。担当者側が某かの外部情報によって動かされたのではという推測が広まる。結局、この推測は当たっていたことになる。また、他の東京都が管理する施設でも、同様の問題が発生していたことが発覚。同人誌即売会への弾圧か、という懸念も広がりパニックへ。

　以下は、私が電話で確認した情報。

１）ターゲットにされたのは、『マニアック総合同人誌即売会「ＡＢＣ」（アブノーマルカーニバル）』という同人誌即売会で、成人向け同人サークルが中心。『東方不敗小町』はＡＢＣの主催者と関連があったのでとばっちりを受けた。

２）『ＡＢＣ』がターゲットになったのは、新聞記者が公社に問い合わせを行ったから。現段階では、読売新聞・社会部の記者という説が有力。これで、公社側がイベントの内容をサイトでチェック。条例違反の同人誌を販売しているのではないかと疑心暗鬼になった。仮に読売新聞説で確定だとしたら、１０月２２日にこの件を記事として発表しているのでマッチポンプということになる。

３）しかし、それ以前から森本浩司という、コスプレした少女を盗撮をしてコミケを出入り禁止になったという札付きの問題人物が、自分を出入禁止にしたコミケスタッフが関係している（と森本が思っている）ＡＢＣを妨害しようとして、各所に電話攻勢をかけていた。

４）繰り返しになるが、公社側から書面での通達はナシ。電話、口頭での説明は二転三転しており、担当者は同人誌の全体像を把握していない。各イベントで発表されている規制案は、イベント主催者による自主規制でしかない。

５）元警察庁生活安全局の局長で、東京都教育委員会に就任した、表現規制大好きな竹花豊が、この問題に関与しているのではという憶測が流れたが、これは現段階では確認されていない。ガセネタと判断するのが妥当。

６）各イベントの対応に関しては、公式発表があるまで極秘にしろと言う通達があったので、この場では何も公開できない。

　という感じ。それにしても、相変わらず新聞記者が自分から表現規制に与するような行動をとっているのには、開いた口がふさがらない。彼らが（自分たち以外の）表現の自由などどうでも良いと思っているのであれば、まだ多少は理解できなくもないが、今回のケースは毎日新聞の記者と同じで、自分たちが規制派になっているというのがポイントだ。

　言論人として一体何を考えているのかと首をかしげたくなる………というのは嘘で、実は読売新聞社も有害図書指定の委員として、自分のところの論説委員を送り込んでいるご身分。要するに、昔から青少年の健全育成にかこつけて、表現の自由を規制する側なのである。そりゃあ、警察とも仲がいいわな。

　もう、言論の自由だなんて、偉そうなことを言うのは止めてくれませんかね？

　え？　最初から言ってないって？　そりゃ、失礼致しました。