王様を欲しがったカエル

　案の定というか、原野商法１９９７のヒトに嫌われる。当然だわな。

　で、そこから色んなブログへとジャンプして、アキハバラ開放デモ関連の話題を見ながら、自分もこれと関連した文章を書くべきかどうか悩んだ結果、ちょろっとだけ書いた方が良いのかな、という結論に達する。ただ、多くのヒトにとって非常に差別的、かつ不愉快な内容だろうから、そういうのが嫌いな人は下記の文章は読まないで欲しい。






















　この辺で良いか？　まず、アキハバラ開放デモの話を聞いた時に私が抱いた感想は「何でアキハバラ？」というもので、今でもそれは変わっていない。だからデモに関心が持てなかったし、それほど不愉快な行動だとも思わなかった。同時に、このデモを指導している人間に、古手のオタクがいない＝エセの集まりだなという感想も持った。

　というのは、オタクにとってアキハバラは聖地じゃないからだ。オタクにとって本当の聖地は神保町（の古書店街）で、これ以外の場所というのはあり得ない。オタクの知識の蓄積方法、分類方法というのは古書店街の店主と、そこの常連客を模倣対象として醸成されたものだ。オタクの新しい情報に関する入手ルートは、神保町の一般書店にあり、ここでは出版社が近いという理由から、新書が通常よりも２～３日は早く入手できる。そして、この２つをクロスオーバーさせたものがオタク文化の基礎になった。

　だから、池の上に最初にできたコミケ準備会は、古書店という体裁をとっていた。また、背中にリュックサックを背負うというスタイルは、古書店で本を購入しつつ、立ち読みができるように両手を空けておく必要性があったのと、初期のオタク層と登山マニアが被っていたのが主な理由である（神保町界隈には登山関係の店が複数あったので、新書と古書と登山グッズが同時に入手可能だった）。

　そういう次第で、古書店街に通い詰めた経験のないオタクは、本当の意味でのオタクではない。欲しい本を少しでも早く入手しようとして、神保町に行った経験のないオタクはオタクではない。マンガしか見ない、アニメしか見ないというオタクは本当の意味でオタクではない。神保町に点在する古書店の名前をどれだけ知っているか、またどの本屋に行けば何が入手可能かを、ある程度把握しているかどうかで、オタクの内部には厳然としたヒエラルキーがあったし、実は今でもある。知らないヤツは「お客さん」だ。表面上は談笑していても、裏に回ると小馬鹿にされる。古手のオタクは、これをあまりにも自明としたたために、オタクの文化伝承に失敗したし、失敗したことをむしろ「当然」と受け止めている。理由は、あまりにも差別的なので書きたくない。

　だから、オタクをリアルに描いたと評判の作品のほとんどは、リアルなオタクを描いていない。あれらの大半はアート系の学生にありがちなお話であって、活字系のオタクとは無縁なものだ。両者の違いを熟知している人間は、秋葉原界隈を主戦場にするオタクをアキバ系オタクと呼ぶ。この呼称には差別的な意味合いが含まれる。オタクに関する正しい記述をしているのはこのブログだ。そして、オタクとして王道を走っている代表的な人物は吉田豪だ。

　しかし、こうやって書き上げた文章を読み返しても、あんまり良い気持ちになれない。選民思想はどうかと思うし、地方差別が内包される場合はなおさらだ。にもかかわらず、知らないヤツが「オタクというものは………」とうんちくを傾けているとカチンと来るのだから厄介だ。こういう、アンビバレンツな感情は、どこかで解消しなくちゃいけないんだけどね。どうしようか？